もちろん中国側も、TPP加入などできるはずがないことはわかっていて、あえて、加入申請してきたことは間違いありません。そもそもTPP自体が中国包囲網の一環としてアメリカが提唱してスタートしたものです。中国としてはその結束を乱して分断すること、そして台湾の加入を牽制することが目的でしょう。台湾が申請する前に、くさびを打ち込んでおこうというわけです。
しかし、台湾にとって強力な援軍が現れました。自民党総裁選の候補の一人である高市早苗議員です。
9月20日、高市早苗氏は台湾の蔡英文総統とオンライン会談を行い、台湾のTPP参加支持を明言しました。
産経新聞の報道では、蔡英文総統が、
「台湾はTPPのように高い水準にあるマルチラテラルな貿易協定に加盟するための十分な能力を持っています。高市議員および日本の友人たちには、TPPのようなさまざまな自由貿易協定に台湾が加入できるように、積極的に支援してほしいと思っています」
と発言したのに対して、高市氏は、
「TPP参加の前提となる諸問題を解決することも含めて、日本は参加を支持し、それに向けてできる限りの支援をしたいと思っております。また、TPPの参加ばかりではなく、以前より取り組んでいるWHA(世界保健総会)、ICAO(国際民間航空機関)、ICPO(国際刑事警察機構)といった、国際舞台・国際社会における台湾のご活躍を推進し続けて行くつもりでございます」
と答えたと報じています。
高市氏が自民党総裁、そして日本の総理大臣になれば、日本は台湾のTPP加入はもちろん、中国の反対で参加できていない国連機関への参加も後押しすることは明らかです。中国としてはかなり警戒していることでしょう。
もちろん、こうした台湾支援の姿勢は、政府関係者では高市氏だけではありません。自由時報は、NHKの報道として、日本の外務省関係者が台湾のTPP加入に肯定的な反応を示したと報じました。
加えて、アメリカを訪問中の茂木外務大臣も台湾の加入申請について「歓迎したい」と語りました。
● 台湾“TPP”加入申請に茂木外相「歓迎」 「かく乱」中国側反発
その一方で、中国の加入については、麻生財務大臣が「中国が新規加入できる状況か」「ルール通りやるのは本当かという話になるんじゃないか」と疑問を呈するなど、否定的な声が多数上がっていますが、それも当然でしょう。
● 中国のTPP申請 麻生財務相「新規加入できる状態かね」と否定的
しかしながら、マレーシアや、日本でも大商会頭が中国の参加に歓迎を示すなど、思惑の違いも見えつつあります。こうした分断こそ、中国の狙いでしょう。
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