渋沢栄一の子孫が説く、日本が国際社会の中で果たすべき「天命」とは

 

では、現状において世界における日本の天命とは何でしょう。ちょっとイマジネーションを活かす必要がありそうです。日本が「無理な真似をしたり不自然な行為ではない自然体」で、世の中で果たせる役割があるのか。それはMade With Japanだと私は思っています。

多くの国々の大勢の人々の豊かな暮らしを支えて伴走し、持続可能な社会を実現することに関与できるのは、日本の大企業だけではなく中小企業、スタートアップやNGO・NPO、首都圏だけではなく地方も含めて、色々な組み合わせの可能性があると思います。

現在の日本は大きな時代の節目に立っています。今までの日本社会が見たことのなかった規模感、スピード感で世代交代が始まっています。つまり、今までの成功体験を創ってくださった世代から、これからの成功体験を創る世代へのバトンタッチです。

過去の成功体験は人口動態が正ピラミッド形の社会により創られましたが、これからの成功体験は逆ピラミッド型の人口動態の社会で創られなければなりません。その成功体験を創る主役はミレニアル世代・Z世代になります。

30年後には彼らは60代、50代、40代になっています。明らかにこれからの時代の現役世代です。ただ、彼らは先代と比べると明らかに数が少ないことが、今までの日本の成功体験では大きな課題になります。

しかし、彼らの「自然体」とは何か。デジタル・ネイティブであるということです。物心がついたとき、生まれたときからインターネットが常時つながっている世の中しか知らない世代です。そして、インターネットの特徴とは何か。国境がないということです。

もし、この世代が、「自分は日本に暮らしながら、日本で仕事をしながら、世界とつながっているよね~」というスイッチが入れば、どのような世の中が見えてくるでしょうか。気づくはずです。自分たちは人口が少ないマイノリティではなく、世界で最も人口が多いマジョリティであることを。新しい時代における、新しい価値観により、新しい成功体験を十分に創れる世代であることを。世の中は若いのです。特に新興国・途上国では。

想像してみましょう。もし多くの国々の大勢の人々が自分の生活が成り立っているのは日本がMade With Japanとして伴走してくれているからという意識が生じれば、日本の天命が見えてくるでしょう。晴れない靄の上には青天が広がっているのです。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

「論語と算盤」天は人を罰せず

いかに人が神にれ祈ればとて、
仏にお頼み申したからとて無理な真似をしたり
不自然な行為をすれば、
必ず因果応報はその人の身の上に廻る来るもので、
到底これを逃れるわけにゆくものでない。

天罰をくらった状況に陥ったと神に祈るのではなく、政府や会社に解決や答えを安易に求めるだけでもなく、己の心から天命のささやきが聞こえてくるかに意識を配ることが大事であると天命を全うした渋沢栄一は唱えました。

「渋沢栄一 訓言集」・一言集

人生万事天命と、あきらめが肝心である。

「人事を尽くして天命を待つ」ということは、できる限りのことをしたら、あとは焦らずに、その結果は天に任せるというこということです。「Made With Japanなんて無理だろう」と最初からあきらめることでは、決してありません。新しい時代の新しい成功体験になりえるMade With Japanを目指すことが大事であり、その後は焦らず、天に任せるという心構えが肝心です。

謹白

image by: 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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