ツッコミどころ満載の岸田首相「所信表明」28箇所で浮上した4つの問題

 

また、イノベーションの担い手であるスタートアップの徹底支援を通じて、新たなビジネス、産業の創出を進めます。

力が感じられませんね。それから資金需要があるのは、スタート時だけではないです。

そして、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温暖化対策を成長につなげる、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進いたします。

これは大前提なので、ブレないのは大事です。

第二の柱は、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」です。

 

地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます。

ちょっと内容が空疎にすぎませんか?5Gって今でしょ。データセンターって、それは基本どこにおいても関係ない話です。

第三の柱は、経済安全保障です。

 

新たに設けた担当大臣の下、戦略物資の確保や技術流出の防止に向けた取組を進め、自律的な経済構造を実現します。強靱なサプライチェーンを構築し、我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定します。

つまり脱中国というケースにおける国際分業のシナリオというオプションを持っておくということですね。いいと思いますが、中国の変化をソフトランディングさせる努力も放棄してはダメだと思います。言い方を変えれば、少なくとも中国という巨大市場、巨大製造拠点を自由経済の中に止める必要性をどう考えているのかが見えません。と言いますか、今日只今の中国の不安定な状況に対する危機感が足りないようにも思います。

第四の柱は、人生百年時代の不安解消です。将来への不安が、消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています。

 

兼業、副業、あるいは、学びなおし、フリーランスといった多様で柔軟な働き方が拡大しています。大切なのは、どんな働き方をしても、セーフティーネットが確保されることです。働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組みます。

 

人生百年時代を見据えて、子供から子育て世代、お年寄りまで、全ての方が安心できる、全世代型社会保障の構築を進めます。

総花的で、いかにもお役所的ですが、雇用形態の多様化に見合う健保と年金制度という問題意識を持っているということは伝わりました。

次に、分配戦略です。

 

第一の柱は、働く人への分配機能の強化です。

 

企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵を受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます。

 

政府として、下請け取引に対する監督体制を強化し、大企業と中小企業の共存共栄を目指します。

 

また、労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化します。

これではまるで70年代の英国労働党のような感じです。非常に心配です。まず、国内市場を相手にしている企業の場合は、そのような分配の原資はありません。利幅が薄すぎるからです。一方で、多国籍企業の場合も、日本国内部分での分配を拡大するための原資として必要な国内での生産性はありません。ですから、利幅を取り、生産性を上げることが先決であり、こんなストーリーは、絵に描いた餅であるか、塩ビの食品サンプルのようなものです。賃上げしたら税制優遇っていうのも虚しい話で、税制優遇が唯一の原資だったら賃上げなど微々たるものだからです。あと、シレッと「四半期開示の見直し」など入れやがって、これは困ります。ただでさえレベルの低い、日本の財務会計がもっとレベルダウンしては、利幅や生産性などさらに遠のくからです。

政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報が届く冷泉彰彦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • ツッコミどころ満載の岸田首相「所信表明」28箇所で浮上した4つの問題
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け