ツッコミどころ満載の岸田首相「所信表明」28箇所で浮上した4つの問題

 

第二の柱は、中間層の拡大、そして少子化対策です。

 

中間層の拡大に向け、成長の恩恵を受けられていない方々に対して、国による分配機能を強化します。

 

大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていきます。

この「出世払い」というのが気に入りません。同じように奨学金を借りた場合に、成功したら返す必要があるが、運悪く(本人の資質や専門のチョイスに失敗して)高給取りになれなかったら返さなくていいというような、負のモチベーションバイアスを若い人にかけるのは嫌ですね。もっと渡しきりの奨学金を充実すべきだし、即戦力の初任給を国際基準、少なくとも中韓あたりの基準を参考に見直すべきです。

保育の受け皿整備、幼保小連携の強化、学童保育制度の拡充や利用環境の整備など、子育て支援を促進します。こども目線での行政の在り方を検討し、実現していきます。

 

第三の柱は、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくことです。

 

新型コロナ、そして、少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきます。そのために、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格の在り方を抜本的に見直します。

異論はありません。ですが、「公的価格評価検討委員会」の設置というのは、結局は受益者の負担も拡大するという話ではないかと思います。シレッとこういう話を入れるのではなく、フリーランチはないよという前提で、どういったバランスならワークするのか、もっとオープンに議論しないとダメだと思います。

第四の柱は、公的分配を担う、財政の単年度主義の弊害是正です。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組みます。

 

これらに加え、地方活性化に向けた基盤づくりにも積極的に投資します。

つまり単年度主義をやめて無駄を減らすが、全体としてのバラマキは確保するので心配するなということでしょうか。

東日本大震災からの復興なくして日本の再生なし。この強い思いの下で、被災者支援、産業・生業(なりわい)の再建、福島の復興・再生に全力で取り組みます。

 

農林水産業の高付加価値化と輸出力強化を進めるとともに、家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持していきます。新型コロナによる米価の大幅な下落は、深刻な課題です。当面の需給の安定に向けた支援など、十分な対策を行います。

米価下落を取り入れたのは、選挙がらみとはいえ、情報がちゃんと来ているということです。一方で、「家族農業や中山間地農業の持つ多面的な機能を維持」ということは、選挙前だとこういう表現になるんでしょうが、現状維持では希望が出てこない分野です。全国を歩いて「今の人の声」を聞いてばかりいると、こういうゾンビ延命政策になってしまうわけです。

老朽化対策を含め、防災・減災、国土強靱化の強化とともに、高速道路、新幹線など、交通、物流インフラの整備を推進します。

こうやって無機的に羅列されると、かえって国力に限りがある中で、真剣に優先順位をつけないとという気持ちにさせられるから不思議です。とはいっても、総理がそこまでの危機感を持っていないのであれば大変ですが。新幹線は、札幌の工期死守、敦賀のこれ以上の遅延阻止、佐賀と静岡のワガママ許さずということをしっかり言ってほしいですが、後の2つは選挙まではダンマリということなんでしょう。

いのち輝く未来社会のデザイン。これが、2025年大阪・関西万博のテーマです。地域から、IoTや人工知能などのデジタル技術を活用した未来の日本の姿を示します。

もう走っているので心配です。これは違うと思います。公用語を英語にして、アジア広域圏からのダイナミックな投資と参加を呼び込んで成功させて欲しいと思います。

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