19日に衆院選が公示され、選挙戦がついにスタート。前回掲載の「縁起の悪い「仏滅」総選挙。それでも岸田新総理が決断したウラ事情」で、異例の「前倒し」選挙を決めた裏側を指摘した元衆議院議員の石川知裕さん。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、「前倒し」が岸田自民党にとって有利に働く要素として、都民ファーストの会の準備が間に合わなかった点を上げます。さらには、自民同士の戦いの回避も進み、注目選挙区が少なくなったことを今回の選挙の特徴として取り上げています。
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サプライズなしの総選挙/前倒し解散で損をしたのは…
衆議院が解散した。2017年10月の選挙から丸4年。安倍政権から菅政権を経て、岸田政権による初めての解散である。
過去には麻生政権が就任後すぐの解散総選挙を目指したが、リーマンショックにより断念、菅政権も就任後すぐの解散を検討したがコロナ禍で解散を断念した。双方とも後に支持率の低下にあえぎ退陣を余儀なくされた。共通点は就任後すぐに解散していれば強い政権になっていた可能性があるということである。
岸田氏は、解散時期を選ぶ余地がほとんどなかったが、それでも当初予想されていた日程より1週間前倒ししたことはプラスに働くと思われる。過去の2例を見ても、先延ばして良いことはないと踏んだと思われる。
この前倒し解散は、都民ファースト潰しにもなった。都民ファーストは公募の締め切りを10月17日に設定していた。19日の公示なので2日間しか猶予はない。事実上、公募を断念する形になった。都民ファーストは事前説明会で20人分の資料を持ち帰ったということなので、一定数の候補者を立てる意欲はあっただろうが、資金力もない。上田新党も旗揚げを断念した。
目玉となる新党がないというのが、今回の総選挙の特徴である。注目選挙区が無くなりつつあるのも特徴だ。
注目の山口3区も、自民党は林芳正・元文科大臣を公認し、河村建夫・元官房長官を不出馬とする代わりに息子を比例名簿に登載することとなった。新潟2区も同様で細田健一氏が公認、鷲尾英一郎氏が比例に転出、北海道7区も伊東良孝氏が公認、鈴木貴子氏が比例に再選出となり、自民党同士の戦いの選挙区がほぼなくなっている。静岡5区は、細野豪士氏が無所属で立候補する。自民党現職を破っても相手が比例で勝ち上がれば、自民党入りがまた遠のく。総じて二階派が公認争いで負けている構図だ。
他に面白い選挙区もないので、再び全国で唯一の女性同士の一騎打ちとなる北海道11区が注目選挙区で特集されるかもしれない。だが、前回ほどではないだろう。
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image by:ESB Professional / Shutterstock.com