元国税調査官が暴露。国会議員が国税庁に“圧力”をかけている裏の実態

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昭和の昔から令和の今に至るまで、巷でたびたび疑われてきた政治家による国税庁への圧力。はたしてそのような不埒な行為は、実際に働かれているものなのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、「圧力や口利きはある」と認めた上で、過去の具体的な事例を紹介。さらに政治家以上に国税に対して強い影響力を持つ人々が存在することを明らかにしています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2021年11月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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国会議員秘書と国税庁との怪しい関係。国会議員の国税に対する圧力はあるのか?

「国会議員の国税に対する圧力」について一般的な話をしたいと思います。

国会議員や地方議員などから、国税に対する圧力はあるかと聞かれると、「ある」ということになります。

税務調査などで多額の追徴税を払う羽目になった納税者が、知り合いの議員を頼って、国税に口をきいてもらおう、ということです。そして、実際に政治家の圧力によって納税者の税務調査に手心を加えることもあります。たとえば、少し古い話ですが、こういうことがありました。

1990年に、香川県内の紙容器製造会社の税務調査で、約1億500万円の申告漏れが指摘されました。この紙容器製造会社は、売上を除外したり、タイムカードの操作で人件費を水増しするなどの悪質な課税回避行為がありました。そのため、重加算税や青色申告取り消しなどの重い措置が取られることになっていました。しかし、当時自民党だった月原茂皓氏から国税庁に要請があり、高松国税局は会社側と協議し、申告漏れ額は約6,000万円にまで減額されました。

基本的にこういう話は、よほどのことがない限り表に出てこないので他にもたくさんあると思われます。

が、国税は政治家の圧力に関して、ある程度の抵抗力はあります。

課税処分に関して政治家の口利きで、処分を甘くしたなどということが発覚すれば、ほかの納税者が言うことを聞かなくなるからです。「よそは政治家さんに頼んで税金安くしてもらっている人もいるのに、なんでうちだけ厳しくするんですか」などということになるのです。

また政治家も下手をすれば、国税の税務調査を受けないとも限りません。

国税(税務署)は本来、首相でさえも、税務調査を行い、脱税を摘発する権利を持っています。政治家の中には、「警察は恐れないが、国税は恐れる」などと言う人もいるそうです。

実際は国税は政治家に対してかなり遠慮しています。本当に強い政治家に対して税務調査を行うようなことはほとんどありません。

政治家というのは、入金や出金に不透明な部分が多く、ほとんどの人が多かれ少なかれ叩けば埃が出るといわれています。それでも政治家への税務調査は、よほどのことがない限り行われません。

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