「米は中国を止めることなど出来ぬ」米中首脳会談の直後ある筋から届いた衝撃の一報

 

それは、両国内におけるプレッシャーの強さが背景にあります。米中両国内で、高まる緊張と経済的な悪影響を懸念し、対立姿勢に懸念を表明する勢力があるのは確かですが、大多数は【今、ここで退いてはならぬ】という方向一致し、互いのバリューに相容れないものに対して徹底的に攻撃するべきという方向に傾いています。

アメリカにおける対中脅威論もそうですし、中国内におけるアメリカの帝国主義的な考えと異文化をコントロールしようとする姿勢への反発もそうですが、その背景にあるのは、バイデン大統領も、習近平国家主席も、米中対立を鮮明化させることで、国内政治における権力基盤の安定化を狙っており、ともに【相容れない価値観に負けない強いリーダー像】を打ち出そうとしています。

まずアメリカですが、バイデン大統領率いる民主党は、来年の議会中間選挙に向けた地方選挙で連敗し、コロナ禍からの経済復活も公約ほどには進んでおらず、反トランプの旗の下、違いを鮮明化させようと張り切った脱炭素に向けた国際的なリーダーシップも、議会からの反発を受けて、規模もトーンもしぼみ、EUの影に潜んでしまったとの非難に直面しているようです。

【アメリカ国民や企業を全体主義的な企てから守る】との決意を前面に打ち出して、中国と対立することで、何とか支持率の底上げを狙っているとされています。またBLM以降のアメリカ社会の分断は改善しておらず、コロナ禍で貧富の格差も拡大しており、国内情勢は悪化していると思われます。そのカバーアップに中国との対立・緊張が用いられています。

中国も同じようです。習近平国家主席については、3選目に向けた国内での支持固めが加速し、6中全会では“個人崇拝禁止”が撤廃され、権威固めがある程度落ち着いたと言われていますが、それでもコロナ対策、アメリカとの相克で経済成長を低下させたこと、収入増のエンジンと化していたIT企業への強硬な締め付けなど、習近平国家主席への非難も、共産党幹部から上がっており、まだ盤石の基盤が出来たとは言えないようです。

習近平氏が必死に排除を試みる胡錦濤前国家主席の息子であり、今では革命精神の担い手と目される胡海峰氏や、現在副首相で、次の首相候補とされる胡春華氏の動向も非常に注目されており、習近平国家主席が3期目を確実にし、かつ予てより希望していた通りに党主席の立場も手に入れることができるか否かも、これから来年の全人代までにどれくらいの功績を残し、世界のリーダーとしての地位を築けるかにかかっていると言われています。

ゆえに、両首脳とも、緊張緩和を目指すと言いつつも、現時点では、国内に対して強いリーダー像をアピールする必要性から、容易に譲歩することはできないのが実情でしょう。

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