「米は中国を止めることなど出来ぬ」米中首脳会談の直後ある筋から届いた衝撃の一報

 

これに関連して、経済安全保障面での米中対立も過熱しています。トランプ政権時から始まった米中関税紛争や、貿易慣行の是正をめぐる駆け引き、知的財産権をめぐる争いなど、アメリカ政府独自の制裁に加え、インド太平洋地域における経済安全保障の枠組みであるクアッドを通じて、対中包囲網の強化に乗り出しています。

これに対し、習近平国家主席と中国は、「国家安全保障の概念を盾に、中国企業を攻撃するのは不当」とアメリカおよびその同盟国の姿勢を激しく批判し、正面から対立する姿勢を鮮明化しました。

そして、「アメリカとその同盟国による対中経済措置は、中国経済のみならず、アジア全体、そして世界経済に悪影響を与えるものであり、アメリカが自身で掲げる自由貿易および自由主義経済の理念に反する内容で、まさしく、これぞアメリカの得意とするご都合主義の二枚舌対応だ」と糾弾し、正面から対立する道を選択した模様です。

これは、アジア全域、中東、アフリカにまで及ぶ中国経済圏の拡大に根付いた自信も背景にあるようで、世界各地で経済的にも対決するアメリカと欧州諸国へ挑戦状をたたきつけ、中国とロシアを中心とした国家資本主義体制の下、近隣国および反米国を巻き込んで、対欧米対立軸を形成する覚悟とも理解できます。

経済・貿易面での米中対立については、アメリカサイドも態度を硬化させていますし、中国側も再三のアメリカサイドからの働きかけを一蹴していることもあり、しばらく歩み寄りは難しそうです。

特に最近終わったCOP26に向けて、気候変動分野での協力を模索するために訪中したケリー気候変動問題特使にも、対立の緩和に乗り出そうとしたシャーマン国務副長官に対しても、「アメリカが覇権国の観点から、他国にいちいち指示し、異なる価値観を指弾する姿勢には断固として反対する」と述べています。

ここまでの対立を、中国サイドが選択する理由は、【オバマ時代に始まり、トランプ大統領によって実行に移され、バイデン大統領に継承された対中非難は、一方的なアメリカンバリューの押し付けに過ぎず、いつまでも言いなりになるとは思うな】という、長年にわたる欧米諸国によるアジアのコントロールに先頭に立って対抗するという“アジアのリーダー”としての自負と(周りが認めているかはまた別の話ですが)、度重なる【人権問題への非難】への対抗とも読めます。

新疆ウイグル自治区における強制収容“疑惑”、香港の民主主義の破壊、チベット自治区における宗教的自由のはく奪などに対する欧米からの非難と、それへの措置としての、欧米諸国による度重なる経済制裁に対して、90年代ぐらいまでは屈するしかなかった中国指導部の苦い記憶が、世界第1位または2位にまで高まった経済力を背景に、中国に反動的に強硬姿勢を取らせていると考えられます。

外交的には【新疆ウイグル自治区、チベット、そして香港の問題は、100%中国の内政問題である】とし、【人権問題を理由にした中国非難を許さない】との姿勢を貫き、経済面でも台湾問題でも対立が鮮明化しましたが、そもそもどうして両国ともレッドラインを提示するほど、対立姿勢を表面化させるのでしょうか?

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