子どもの頃から飽き性で大人になっても仕事が長続きしない。このまま年を取ったらマズいのでは──。30代の読者からの相談に答えるのは、メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさん。永藤さん自身が何度も転職していることもあり、さまざまな仕事を経験することはむしろ強みになることもあると後押し。ブランクを作らず継続して社会に出ていれば、毎日が変化に富んだ仕事に巡り合う可能性も十分にあると伝えています。
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ちょっと御相談がありまして:いろんなことが続かない
皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。
Q.
30代前半。Yと申します。私は、子どもの頃から何をやっても長続きしません。習い事なども、体操教室、ピアノ、公文など、最初は親が選び、小学校中学年くらいからは、自分で興味をもったことを親に伝えると、通わせてくれましたが、すぐに飽きてしまうのです。
ゲームやマンガなども、同年代で流行っているものがあれば同じようにハマることはあっても、なにかを突き詰めることはありません。
大学もとりあえず卒業はしましたが、社会人になっても、3年くらい経つと同じ仕事を続けていることが苦痛になってしまい、転職します。そこそこ言われたことはできるし、あまり高望みもしないので、就職先はなんとなく見つかるのですが、またしばらくすると飽きてしまいます。人付き合いも同じで、恋愛も長続きしません。
今まではこれで何とかやってこられたのかもしれませんが、年を取ったらこれではまずいという自覚はあります。でも、同じことを毎日毎日続けることが苦痛なのです。私はどうすればいいのでしょうか。
永藤より愛をこめて
「飽きちゃう」という気持ちも、「30代になって、『これじゃマズい』」という気持ちも、どちらもお察しします。20代で2回、30代で1回、そして40代で1回転職をしたワタクシ永藤が偉そうなことを言えた義理ではありませんが、飽きちゃうものはどうしようもないですよね。まぁワタクシの場合、飽きちゃう以前に会社がつぶれちゃって転職を余儀なく、ということもあったりしたのですが、それは置いといて。
もちろん、子どもの頃の夢をかなえてパイロットになり定年まで勤めあげた、とか、学生時代から憧れだった保育士さんになってン十年、という方もいらっしゃいますが、そういう方はごくまれなんじゃないかな。
今の50代より上の年代は、終身雇用だの年功序列だのの尻尾にかろうじてしがみついているかもしれませんが、40代以下はそんなことにこだわる必要もないと思うのです。18とか20そこそこで、自分の一生の仕事なんて(一部の人を除いて)見定められるわけもないのだから、今は自分の気持ちにある程度正直に行動してもいいと思いますよ。
メーカーOL→雑誌編集→日本語教師→小さい会社の社長秘書兼法務兼労務兼人事兼コンテンツ制作→公認心理師・研修講師・書籍執筆・カウンセラーと変遷してきた私が一言だけいえるのは、「人生ムダなし」。
いろんなことをやっておくと、いろいろつぶしが効きます。それがYさんの武器になります。そしてそんな風に生きていると、初めてのことにぶちあたっても、恐怖心はそれほど襲ってきません。何度も初めてを経験しているから。
そのためにも、バイトでもなんでもいいから継続的に社会に出ていた方がいいとは思いますけどね。ブランク空いちゃうとそれだけで怖くなっちゃうということはあるから。車の運転とかもそうでしょう?
そしていろんなことをやっているうちに、「同じことを毎日繰り返すわけではない」仕事というのが存在するのも見えてくるかもしれない。それは「同じことのように見えるけれども、焦点の当て方によっては「毎日新鮮!」という仕事だったり、職種自体が常に新しい事例を開拓していくような仕事だったりに巡り合う可能性があるのではないかと思うのです。
その時、Yさんのような「いろいろやったことがあって、柔軟にものごとを捉えられる人」が本領発揮できるんじゃないかな。「ああ、ここにたどり着くために、今までの自分はいろいろな道を通ってきたんだな」。そう思える仕事や人に出会えることをお祈りしています。
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