「地元に愛される」とはまさにこのこと。閉店危機の下町パン屋を救った話

 

しかし、このお店にも一度だけ閉店の危機が訪れたことがあります。14年前、最愛の奥さんが亡くなったのです。2人で築き上げたお店だったので、失意の底から這い上がることができず、やめてしまおうかと考えていたのです。

そんな時、悩みながらもお店に行ってみたら、驚きの光景を目にしたのです。シャッターに張り紙があったのですが、それは常連さんたちからの寄せ書きだったのです。

「早く食べたいです」
「これからもずっと続けてください」
「母ちゃんの分までがんばって」
「オープン、楽しみにしています」
「これからも美味しいパンを作り続けてください」

たくさんのメッセージに涙が溢れ、「簡単にはやめられない」と、やる気になったのです。ここから奮起。娘さんの力も借りて、パン屋さんを再開したのです。

家族が亡くなったからといって、店主のことを心配してくれるお客さまは、ほとんどいません。しかし、このお店には、そんな優しいお客さまがたくさんついているのです。見守ってくれているのです。

こんなに幸せな商売人は、あまりいません。

お客さまを愛し、お客さまに喜んでもらうことだけを考えて来たからこそ、お客さまに愛され、長く続けることができているのです。

商売人のあるべき姿、そのものだと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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