ほど遠い「幸せな国」への道。安倍政権の“宿題”に追い詰められる日本国民

 

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を控えた今、介護離職を防ぐための議論も欠かせません。

だって加齢によるプレ認知症状態は、ちょっとだけ支えてあげれば一人でできる。家族と一緒であれば、介護施設に入らなくても生活が可能です。

しかし、一人の「職業人」としての生活をしていると「一緒に住む」という選択は物理的に極めて難しい。となると、高齢の親は配偶者の他界で一人暮らしになったり、親が子どものそばへ引っ越すしかなくなるわけです。

それは「自分だけのコミュニティ」を高齢になっても作れるという利点がある一方で、ケアする側=子どもは限られた時間を親のために使うしかなくなります。仕事と親のケアを両立するためには、自分の時間を削るしかないのです。

その最悪の顛末が、親への暴力だったり、介護殺人といっても過言ではありません。

この問題の解決には、度々本メルマガでも発信している「認知機能のリハビリ」ができる専門家の育成ということになるのですが、日本には身体的なリハビリはできても、精神面のリハビリができる専門家の育成はほとんど行われていません。

「傾聴」だけでもダメ、「優しく接する」ことは分かっていても家族だと難しい場合もある。なのに、その議論は「認知症でも住みやすい街づくり」という大きな枠でくくられ、結局は「そこから落ちる人」を見捨てることになっています。

ましてや「ケアできる家族がいない」高齢者は完全にスルーです。

どんなに「子供には世話にならない。自分達でなんとかする」と考えていても、老いれば、誰もが例外なく「他者の世話」が必要になります。

と同時、ちょっとだけ支援してもらって、「自分でできる」という自信が、認知機能の低下の進行を確実に遅らせます。

「こども庁」の創設に向けて、野田少子化担当大臣は記者会見で機能や権限などについて時間をかけて十分な検討を行う考えを強調しました。その上で政府は、再来年度に「こども庁」を設置する方向で調整を進めていると報じられました。

しかし、介護問題は待ったなしです。

できることなら早急に「介護庁」なるものを創設していただきたい。超高齢社会の世界のトップバッターとして、日本がハード面でもソフト面でも、輸出できる技術やノウハウを蓄積して、「おじいちゃん、おばあちゃんが幸せな国」の代表になってほしいです。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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