国民をダマした安倍晋三元首相「イカサマGDP」の大嘘とカラクリ

 

安倍首相は、2016年の「年頭所感」で、何の具体策も根拠も示さずに「戦後最大のGDP600兆円」という大風呂敷を広げた。今の安倍政権では絶対に達成不可能な目標だけど、これを何とかするために安倍首相が真っ先に指示を出して内閣府に取り組ませたのが「名目GDPの計算方法の変更」というイカサマだったのだ。

 

名目GDPとは、簡単に言えば「消費+投資+政府支出」なので、このうちどれかを増やせば数字が上がる。そこで内閣府は、これまでは「経費」と見なしていた各企業などの「研究開発費」を「投資」と見なして名目GDPに加えることにした。これだけで年間約20兆円の「研究開発費」が名目GDPに上乗せされた。

 

他にも、これまでは加算しなかった「特許使用料」や「不動産仲介手数料」なども次々と名目GDPに加算することにした。分かりやすい表現を使えば「下駄を履かせる」というわけで、今まで名目GDPの計算に入れなかった項目を次々と上乗せする「水増し方式」に変更することで、安倍政権は、あたかもアベノミクスが成功して日本のGDPが成長しているかのように演出して来たというわけだ。

 

さらに言えば「研究開発費」なんてものは政府の匙加減ひとつでどうにでもなる。麻生太郎財務相が詐欺罪で逮捕された「ペジーコンピューティング」に100億円をポンとプレゼントしたように、「国の支援」という名目で民間企業にバラ撒きをすれば、あたしたちから巻き上げた税金を使って、GDPが成長しているかのように演出することができる。まさに「自作自演」、これがアベノミクスの正体であり、今回の「大本営発表」のカラクリというわけだ。

現在の安倍政権がスタートしてからの5年間、内閣府が発表して来た名目GDPを見てみると、2013年が約503兆円、2014年が約513兆円、2015年が約532兆円、2016年が約537兆円、2017年が約544兆円と、右肩上がりに成長しているし、安倍首相が宣言した「戦後最大のGDP600兆円」という目標に向かって着実に近づいているように見える。そして、民主党政権時代の2012年の約495兆円より成長しているように見える。

安倍首相は何かにつけて「民主党政権時代は約495兆円だった名目GDPが、安倍政権になって500兆円を超えるようになった」とドヤ顔で自慢する。だけど、1ドル80円だった2012年の約495兆円をドル換算すると約6兆2,000億ドルになり、1ドル100円になった2013年の約503兆円はドル換算すると約5兆ドル、日本の名目GDPは大幅に下落しているのだ。そして、一見、順調に成長しているように見える2014年以降も、すべてドル換算すると、2014年が4兆3,000億ドル、2015年が4兆4,000億ドル、2016年が4兆8000億ドルと、未だに民主党政権時代より1兆ドル以上も低迷している。

 

そして、2015年から微増している数字にしても、さっき指摘したように、2015年から名目GDPの計算方法を「水増し方式」に変更したことによる「自作自演」だ。試しに「水増し方式」を導入した最初の年、2015年の名目GDP約532兆円を、2014年までと同じ従来の計算方法で算出してみると、なんと「約500兆円」だった。つまり、安倍政権は、これまでは計算しなかったアレやコレやを次々と加算して、総額で約32兆円も水増しして「約532兆円」と、あたかも名目GDPが大きく成長したかのように演出していただけで、従来通りの計算方法であれば、2015年は前年2014年の約513兆円から13兆円も下落していたのだ。

 

実際、2015年度の国内景気は、2014年4月の消費税増税の影響で冷え込んだまま、世帯ごとの消費は前年度割れを連発していた。その上、輸出も振るわなかったのに、名目GDPだけが大幅に成長しているなんて考えられない。だけど、2014年までと同じ従来の計算方法で算出した「約500兆円」、つまり「前年度比マイナス13兆円」という数字であれば、実際の当時の景気とピッタリと合致する。

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