そして、米FRBが金融引き締めをすると、景気後退になる。これを避けるために、200兆円のインフラ投資を行うとしたが。この予算に対して、民主党マンチン上院議員の反対で議会を通らない可能性が出てきた。
このインフラ投資と利上げは、アクセルとブレーキを同時に踏むことであり、マンチン議員でなくても、おかしいことである。
その上、現在、景気拡大を冷やすための利下げやテーパリングではなく、単にインフレが起こったことでの金融引き締めであり、短期金利は上昇するが、金利上昇による株価下落を見越して、資金を株から長期国債に移していることで、長期金利は下落するという結果になっている。
このため、今後、イールドカーブがフラット化する。このフラット化が起きると株価暴落が起き、景気後退が本格化する。そうすると、FRBは、株価を維持するために、量的緩和を再開するか、そのまま、利上げをしてインフレ退治を優先するかの岐路になる。
そして、米国景気が落ちると、世界経済もそれに引きずられて、落ちていくことになる。日本の景気も当然、落ちていく。インフレ下の景気後退で、スタグフレーションに世界は襲われる。
世界的な景気後退になると、人は生活必需品を優先的に買い、ハイテク製品を買わなくなる。これにより、米国のハイテク株の暴落にもなる。すでに、今赤字やPER100倍以上のハイテク株は下落しているが、大幅な黒字ハイテク企業のアップル、メタ、テスラ、マイクロソフト、エヌビディアなどの株価も落ちていくことになる。
米国の景気上昇は、株価の上昇で起きているので、そこがコケると景気の腰折れになる。非常に大きな景気後退になるのだ。
そのような世界的な景気後退になると、米国は共和党右派と民主党左派に分断しているので、この分断が深まり、米国国内紛争に発展することになる。
これを避けるためには国論を統一できるテーマが必要になる。それが中国パッシングである。中国を敵として、米国民の世論を一致させるしかないことになる。
景気後退時、米国はすぐに世論を海外の敵に向けて、政権維持を図る習性がある。今までは、それが成功してきた。日本もこれでやられた。
このため、いやな米中対決になってしまう可能性があるとみる。
中国もITハイテク企業の規制強化と課税強化で、経済規模の拡大ができなくなっている。その上に、富裕層が投資している不動産価格の引き下げや不動産税を取るなどで、富裕層の投資資金に課税しようとしている。このため、富裕層は、中国国内での投資を諦めて、海外への投資を増やすことになる。
その資金が日本の不動産にも来ているので、不動産価格が上昇している。
中国の人口も減少してくるので、景気は悪くなり、習近平国家主席への圧力が大きくなる。このため、中国も海外へ国民の目を向けさせようとする。このため、米国が中国を敵とするなら、中国も米国を敵とした対応になることが確実である。日本とはそこが違う所で戦争に向かうことになる。
国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ