そんな中、北朝鮮が核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行う可能性があるとの情報が入ってきました。双方ともに明白な国連安保理決議違反になり、少なくともアメリカ政府のレッドラインを超えることとなります。バイデン政権がどこまで厳格な対応を、迅速に取ることが出来るかに、その後の情勢はかかっていると思われますが、同時に核実験とICBMの発射は、北朝鮮の後ろ盾である中国とロシアにとっても許容できないものとされているため、金正恩氏が国内向けのアピールばかりに気を取られて、国際社会の“我慢の限界”のサインを読み違えないことを切に祈ります。
国際社会は交渉と制裁を繰り返して、北朝鮮の核問題と向き合ってきましたが、残念ながら北朝鮮の核保有を止めることはできませんでした。それには、北朝鮮包囲網の不完全さという点もありますが、中国とロシアの外交的なコマとして北朝鮮を存在させていることと、何度も軍事オプションの可能性を匂わせながらも実行に移せないアメリカ政府の現実があります。
起こったことと言えば、北朝鮮人民の窮状が悪化していることと、北朝鮮を核保有国にしてしまったという事実です。
オバマ政権、そしてバイデン政権も“戦略的忍耐”といった理解不能な外交戦略を選択して北朝鮮を後押ししていますし、トランプ氏もdealmakingという自己主張の機会に囚われて、結局、北朝鮮の餌食になりました。
すでにアメリカ政府が行う脅しをまともに取る状況はなくなったと言えます。
そのような中、いかなる偶発的な衝突や暴発も、瞬時に直接的な悪影響につながってしまう日本が選ぶべき選択肢にはどのようなものが現実的に存在するでしょうか?
拉致問題を抱え、そして北朝鮮が核保有国となり、かつミサイル攻撃能力が格段に上がっている今、日本が選べるチョイスはさほど多くないでしょうし、時間もあまり残されていないような気がします。
皆さんはどうお考えになりますか?
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2022年1月21日号より一部抜粋。この続きをお読みになりたい方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト