ふじみ野“猟銃”立てこもり射殺事件を招いた「在宅」という閉鎖空間

 

もちろん多くの利用者さんや家族は、協力的で、親切で、長時間かつ激務の在宅ケアスタッフを労っているのですが、一部には確実に「危険」が潜んでいます。

そして、その一部の人たちは決して「特別な人」ではない可能性が高いのです。

在宅で介護をするのは、家族にとっても、ストレスがたまります。多くの人たちは、自分の仕事をあきらめ、「介護できない」言い訳も許されず、親の為に尽くすしかなかった。介護をすればするほど「絶望」するような経験が積み重なり、孤立し、怒り、その矛先が医師や看護師、介護士さんに向かってしまうのです。

世界的にも類を見ないスピードで高齢化が進む日本では、医療費抑制のため入院による治療から介護施設や在宅看護も含めた「地域包括ケア」が進められているのはご承知の通りです。

介護問題は山積していて、まるで絡まった毛糸のように、一つを解決すればそれでいいというものでは、もはやありません。

そもそも医療とはサービスなのか?在宅介護、治療の限界点は?介護する家族へのケアは?在宅ケアに関わる人たちの安全は、どう確保するのか?

政府任せにするだけでなく、「私」たちも「私」の問題として考えるにはどうしたらいいのか?

今回の事件を、事件に終わらせてはいけないのです。

悲しいかな、誰もが老いるし、誰一人として老いから逃れることはできないのに、「冷たい雨に実際に降られないと、水滴の冷たさがわからない」。

みなさんのご意見を、ぜひ、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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