女性から男性へ、男性から女性へ。2度の性転換をした本人が語る「あの時、スカートをはかない選択ができたなら」

 

初潮が訪れたとき、祝われるのがつらかった

「自分は、本当は男の子ではないか」。決定的に感じたのは、弟の誕生がきっかけ。弟は男子として育てられ、しつけられる。その様子を見て、はっきり「本来は私もそうされるべきだ」と確信したのだそう。

「他人からはもちろん、母親から『女の子として見られる』視線に強い抵抗感が芽生えました。体型を眺められたリ、裸を見られたりしたくない。想像しただけで気色が悪い。お風呂も深夜にこっそり入っていました」

身体は女の子でも、自分は男の子なのだ。そう自覚しても、初潮はやってくる。「あの日はとても苦しかった」と振り返ります。

「初潮が来たと母親に告げたとき、祝われました。それが恥ずかしくて、逃げ出したかった。あの日以来、生理が来るたびに気持ちが沈みました。とにかく親にバレたくなかった。そしてバレたくないと焦っている姿を見られるのは、もっと恥ずかしかった」

▲「できることなら初潮が来たことは隠したかった」と振り返る

▲「できることなら初潮が来たことは隠したかった」と振り返る

「男性に憧れる」程度では済まなくなってきた

「性転換」。この言葉を知ったのは中学校へ進んだ14歳。往時、関西ローカルのテレビ番組は、男性から女性への性別適合手術を受けたカルーセル麻紀がたいへんな人気を博していました。「反対に、女性から男性にはなれないのか」。この頃からユズシカさんは、男性になるにはどうしたらいいかを真剣に考え始めます。

「自分のなかにあるズレが深まるばかり。『なんとなく男性に憧れる』とか、もうそんなレベルでは済まなくなってきたのです。自分は本来は男。なのに、身体が女である。生物として根源的な不自然を感じるようになってきました。なにをしてもしっくりこない。『この不条理は、私が男になれば、すべて辻褄が合う』と、性転換を本気で考えるようになったんです」

▲男性への憧れというレベルではなく「生物としての不条理」さえ感じたという

▲男性への憧れというレベルではなく「生物としての不条理」さえ感じたという

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