認知症になった親族の口座は、子供でも引き出せないという現実

2022.02.24
 

ムリな保険営業から守る

さて、かんぽ生命での不適切な営業が問題になり、多くの高齢者が被害にあいました。

高齢者の生命保険の加入の際には、親族などの同席で行うことになっています。生命保険協会の「高齢者向け生命保険サービスに関するガイドライン」によると、2人以上の募集人によって商品内容を説明して、説明していない方の募集人は、高齢者の言動や態度を観察し、商品内容の理解度を確認するなどの対応が望ましいとあります。丁寧な対応が必要になると言うことです。

また、認知症になって保険の請求ができない場合も、契約者が代理人を指定しておけば指定代理請求できるようになっています。

認知症になっても財産を守る3つの方法

認知症になったときに財産をまもる方法には、代表的なものとして3つあります。「成年後見制度」「金銭信託」「家族信託」です。

成年後見制度

「成年後見制度」は、まだ判断力があるときに備える「任意後見制度」と、認知症が発症して判断力が不十分な場合の「法定後見制度」があります。任意後見制度は後見人を選んで、公正証書で任意後見人契約を結ぶもので、法定後見制度は家庭裁判所が後見人を選任します。

この成年後見制度は、財産の保全が目的なので、株式の売買や不動産の売買などはできません。融通の利かないとことや手続きが煩雑なところなどデメリットも多いです。

金銭信託

金融信託とは、個人や法人の財産を信託銀行などに運用管理を任せる金融商品です。信託とは、土地や金銭の管理運用を信頼できる人に託すことを意味します。

代表的な信託商品としては、「教育資金贈与信託」「遺言代用信託」などがあげられます。

また新しいサービスとして、「認知症」に対応した信託商品も登場しています。信託銀行に支払う報酬を確認しながら検討してみてはいかがでしょうか。

家族信託

信託銀行などが行う信託以外を「家族信託」と呼んでいます。また「民事信託」とも呼びます。民事信託は、資産の所有者(委託者)、資産を託される人(受託者)、託された資産から利益を得る人(受益者)の3者で契約を結ぶのが基本です。認知症になる前に契約書を作っておけば、発症後の財産管理、死後の財産管理もできるようになります。契約書の作成や手続きは、司法書士や弁護士などを通して行います。成年後見制度では難しい、柔軟な資産管理ができ、自分の希望を反映することができます。最近は家族信託を扱う人が多くなっていますが、できるだけ経験豊富な人を選ぶようにしましょう。

特殊詐欺の被害は年間300億円!

よくニュースなどでは「オレオレ詐欺」がニュースになることがあります。「オレオレ詐欺」「預金詐欺」などの特殊詐欺は2020年には約1万4,000件で、約300億円の被害がありました。

これも判断力の衰えた高齢者がターゲットになっています。高齢の両親には、こまめな連絡が必要になりますね。

認知症の対策についていくつか説明をしてきましたが、そのほとんどが、認知症になる前に手続きが必要なものです。ということは認知症を発症してからでは遅い!ということです。なかなか言い出しにくいテーマではありますが、日頃から両親とよく話し合っておくことをオススメします。

image by: Shutterstock.com

長尾 義弘

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