さらにスタッフが思わず目を背けてしまったのは、遊川の過剰とも思える現場での演技指導で、延々と続いたそれは、役者のモチベーションを下げてしまう程だった、とも教えてくれました。
遊川が現場に現れた瞬間、“重苦しい空気がどんよりと漂い出す…”とスタッフのひとりは漏らすのです。
『となりのチカラ』の低視聴率に、来年の大河『どうする家康』(松潤が主演)のスタッフも気が気でないと思いきや、こんな答えが返ってきました。「全く気にしていませんョ」と。
その理由として“テレ朝の制作スタッフは、松潤の見せ方を把握していない”というのです。
つまり小栗旬や木村拓哉のような人気俳優には独特の見せ方があり、『となりの~』では松潤の魅力が十分に生かされていないということらしいのです。
「あれでは松潤のドラマというより、遊川さんのドラマです…」とも。
この取材で、今からちょうど10年前の朝ドラ『純と愛』の舞台裏のことを思い出しました。
これは遊川が初めてNHKで朝ドラの脚本を書いたことが話題になりましたが、あのときも脚本家の現場介入が度々話題になっていたのです。
熱心さの余り主演女優と遊川の関係がギクシャクし始め、主役交代という物騒な話も噂されていました。
これで視聴率が良ければ何のことはなかったのですが、主演の夏菜は“朝ドラ史上最も印象の薄かったヒロイン”という肩書きで酷評されることになってしまいました。
爆発的ヒットも出すけれど、役者の良さを完全に消してしまう結果を招くこともあるのが人気脚本家の特徴だと思います。
はたして松潤はこの経験をプラスに変えることができるのでしょうか。
『コンフィデンスマンJP』シリーズや『リーガル・ハイ』を手掛けた古沢良太他スタッフは、松潤の魅力を伝えることができるのでしょうか。
『鎌倉殿の13人』に続いて、来年も日曜20時はテレビの前に座っていられればいいのですが…。
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プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao
記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」
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