鈴木宗男氏は“プーチンの弁明者”か?度を越した「ロシア寄り発言」の理由

 

鈴木氏はアエラ22年3月14日号のインタビュー記事で、こう語っている。

「今の日本のメディアを見ていると、『ウクライナが善、ロシアが悪』という構図の報道ばかりが目につきます。これはちょっと短絡的すぎる」

“善悪二元論”に陥りやすい日本のメディアが欧米の報道を鵜呑みにしているのは確かだが、それなら欧米よりロシアの報道が信用できるのかと問いたい。少なくとも欧米メディアは、ロシアのような政治権力の統制を受けていない。

21年にノーベル平和賞を受賞したムラトフ編集長率いるロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」も、活動の一時停止に追い込まれている。ロシアの国民の何割かは、旧ソ連時代や、大本営発表を垂れ流した戦前の日本と同じように、ウソを事実と信じ込まされているのだ。

鈴木氏はプーチン信者であり続けようとして、泥沼にはまり込んでいる。アンドリー氏がつきつけた疑惑は、議事録からの削除でフタをしようとしても、晴れるとは思えない。

一方、鈴木氏にアドバイスを受けてきた安倍元首相は、「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている。ゴールまで駆け抜けよう」と世界に向かって固い男の約束をしたにもかかわらず、プーチン大統領に向けて心情のこもったメッセージを送ろうとはせず、評論家のようなコメントを繰り返している。

「ロシアのウクライナ侵攻でそもそも(北方領土を)交渉できる環境ではなくなった。責任は日本ではなくロシアにある」(産経新聞インタビュー)

北方領土をめぐって27回も会談し、信頼関係を深めていたわりには、他人事のようではないか。プーチン氏を諌めてこそ、友であろう。それとも、もう友ではないというのか。

プーチン・ロシアに一途な鈴木氏と、逃げ足の速い安倍氏。言動は正反対に見えるが、損得勘定で政治的な立場を守ろうとする姿勢は変わるところがない。彼らの視界に欠けているのは、独裁者の一存で無辜の市民の命と生活が破壊されていくウクライナの現実ではないだろうか。

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image by: 鈴木宗男 - Home | Facebook

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