圧倒的な“遊び場感”。飲食横丁「ガレーラ立川」大成功の秘訣とは?

2022.04.29
 

「ものを言い合える関係性」で計画を進める

「ガレーラ立川」をプロデュースした保村良豪(よしたけ)氏。地元立川の経営者たちから人望の厚い人物である

「ガレーラ立川」をプロデュースした保村良豪(よしたけ)氏。地元立川の経営者たちから人望の厚い人物である

保村氏は「ガレーラ立川」をプロデュースしたいきさつについてこのように語る。

「いただいたテーマは『賑わいの創出』。ここは立川の中でも最もアンダーグラウンドな土地ですが、アンダーグラウンドだからこその空気感を大切にした。アレンジの仕方によっては艶っぽさが生まれる。そこで、あまりつくり込みをしないように考えました」

一覧表にあるとおり、出店している店の本社が立川市、武蔵野市、日野市となっているのは、保村氏と交流のある地元のメンバーで、保村氏が声を掛けて集めたから。最初に各オーナーに確認したことは、周りの商圏とかぶる商売はしないこと。それ以外の業態や価格構成、客単価について話し合うことは特にしなかったという。

「出店をお願いしたところはみな、しっかりとおいしい料理を出して、しっかりとおもてなしができるところ。業態の調整については私が行なった。とは言ってもメンバーが一堂に会して5分くらいで話がまとまった」(保村氏)

しかし、店に入ったとたんに圧倒される空気感はなぜ生まれるのだろうか。これについて保村氏はこう語る。

「ここの空間に『体感』が存在しているからです。それは『うわっ』という感動が、一つの空間の中に全部がつながっている状態。これを個店でつくり上げることができませんね」

店内のレイアウト図。二重コの字になっているのはカウンター。全体を見渡せるのが⑤、⑥、⑦のあたり

店内のレイアウト図。二重コの字になっているのはカウンター。全体を見渡せるのが⑤、⑥、⑦のあたり

「『体感』をつくるために大切なことは『ゾーニング』。ここから入るとこのように感じるだろうなだとか。ラブホテルの横は裏路地だし、その近くにはバーやしっぽりと日本酒を飲む店を集めた。一方で、元気があってポップな動きができる店は入口近くの表側に集めた。これはみんなで話し合いながら、なんとなく収まった。これによって、施設全体のパワーが最大化する空間が出来上がった」

バーや日本酒を打ち出す店を一角に集めて静かに飲食を楽しむ雰囲気を創出している

バーや日本酒を打ち出す店を一角に集めて静かに飲食を楽しむ雰囲気を創出している

ここのゾーニングが成功している要因は、何よりも保村氏と交流のあるメンバー相互が取り組んだことであろう。「ものを言い合える関係性」が一体化することによって、施設の中に「体感」を創出しているだろう。これが全く畑違いで、お金だけを目的に集まってきている人たちと取り組むと、このような形にはならないはずだ。

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