イーロン・マスクの資金源とツイッターの成長の関係性
440億もの多額の買収資金をマスク氏はどうやって手当するのでしょうか。5月7日時点において、アメリカ証券取引委員会(SEC)に提出された資料[9][10]を元に計算すると、買収資金の内訳を推定すると図表3のようになります。
図表3
図表3の資金をエクイティ(株式)とデット(負債)の視点で分類すると以下になります。
■エクイティ(株式)による調達 247.5億ドル
-マスク氏:157.2億ドル
-複数のエクイティ投資家:71.4億ドル
-既存のエクイティ投資家による拠出:18.9億ドル
■デット(負債)による調達 192.5億ドル
-負債による調達(debt financing):130億ドル
-テスラ株を担保としたマージンローン:62.5億ドル
ただし、元々4月25日時点では、負債(debt financing)130億ドルとテスラ株を担保とした融資125億ドルの総額255億ドルの調達をモルガン・スタンレーとその他金融機関より行い、マスク氏が最大で210億ドルの資金を出すという取り決めになっていました。この状況では、株主はマスク氏のみでした。そのため、マスク氏は、負債の提供者を除き、外部の投資家に対して成長ストーリーを示す必要はありませんでしたし、マスク氏が基本的には自由にツイッターを経営することができる状況でした。
しかしながら、5月6日のSECの資料によれば複数のエクイティ投資家から総額約71億ドルのコミットを得たことがわかりました。
エクイティ投資家には、オラクルの共同創業者でテスラの大株主でもあるラリー・エリソン氏(10億ドル)といった個人に加え、アメリカの大手ベンチャーキャピタルであるセコイアキャピタル(7億ドル)、暗号通貨取引所のBinance(5億ドル)、大手資産運用会社のFidelityの投資会社(3.16億ドル)等といった名前が連なっています。
さらにはTwitterの既存の主要株主であるサウジアラビアのアル=ワリード・ビン・タラール王子は自身が保有する約18.9億ドル相当分の株式につき、買収手続きのために拠出することを合意しています。
上記のエクイティでの調達の結果、テスラの株式を担保とした借り入れは当初の13億ドルから6.25億ドルまで減額されたというメリットがあります。
一方で、マスク氏は、エクイティ投資家からガバナンスを受けるとともに、エクイティ投資家に対して、十分な経済的リターンを提供する必要が出てきます。では、どのようにツイッターは成長をしていくのでしょうか。
[9」 テスラ株12%安 マスク氏のTwitter買収計画に影響も
[10] Tesla Stock Drop Wipes Out $126 Billion in One Day