「コスパ」は個性を殺す。効率を重視することで失われる“自分らしさ”

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コストパフォーマンスの究極を言うと、それは「同一」ということになります。

わかりやすく説明すると、たとえば、ニューヨークにいる僕が、東京の友人宅を尋ねるとして、「最短距離」は、この世で一つしか存在しません。たったひとつです。

ひとつ駅を乗り過ごすと、ひとつ角を曲がると、それは「最短距離」でなくなってしまう。うちの家のドアから、彼の自宅のドアまでの最短距離はこの世でひとつしかない。

ということは、究極、みんなが同じ道程を辿ることになります。全員が、同じ線をなぞることになる。

で、その一方で、個性、個性と騒いでいる。このことからも、日本は常識枠内での「個性」と呼ばれるものを目指していることがわかる。

ひとつ駅を乗り過ごすことで、お気に入りになるかもかもしれないレストランを発見できるかもしれない。

ひとつ角を遠回りすることで、なつかしい友人に会えるかもしれない。今まで気づかなかった河川敷に咲く花に見惚れることができるかもしれない。

もちろんできないかもしれない。わからない。わからない限りは、最短距離だけが至上とは言えない。

もっと言うなら、わざわざ友人に会うのに太平洋を横断しなくても、リモートで用件を済ませればいいじゃないか。そう思わない可能性もない。

つまりはコスパの究極はそういうことです。全員がリモートに「同一化」すれば、極論、友人との思い出も激減してしまう。ちょっと極論?かな。

でもコスパがすべてだと言うのなら、全世界の人間がトヨタ カローラを乗らないと辻褄が合わないと思うのです。価格のリーズナブルさ、燃費、運転のしやすさ。それだけを考えるなら世界一です。まちがいなくベンツより、BMWより上です。みーんなカローラで統一しちゃえ。

以前、テレビでタレントの堺正章さんが、アメ車のしかもビンテージ車が大好きで、何台も保有していると話していました。

「でも、ガソリン撒き散らして走ってるようなもんなんだ。燃費、サイアクなの。あと、高いだけで、すーぐ故障しちゃうしねぇ、、、、でも、それが可愛いんだよねえ」そう話すマチャアキさんは子供のようなキラキラした目で、なんだか素敵だなぁと思いました。

経済評論家という肩書のただの倹約家の先生がホワイトボードをバックに節約術を話す時のドヤ顔より、よっぽど(ま、この例え話はちょっと違う気がしないでもないけど)。

つまり、コスパを極めれば極めるほど、「同じになる」ということです。

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