上手な戦い方
孫子は、上手な戦い方を教えてくれます。その中から4つの言葉を紹介しましょう。
● 勝ちを知るに五あり
「勝利を収めるための条件は、五つある」
孫子が説くその条件は、次のとおりです。
1.戦うべきかどうかを判断できること
2.兵力に応じた作戦がとれること
3.君主も人民も心を一つに合わせること
4.万全の態勢で、敵の不備につけこむこと
5.将軍が有能であって、しかも君主が将軍の指揮や作戦に干渉しないこと
はてさて、ロシア軍はこの勝利の条件を満たしているでしょうか。満たしていなければ、今回の戦争に勝てないでしょう。特に、5番目の条件が問題です。
● 夫(そ)れ戦勝攻取して、其(そ)の功を修めざるは凶、命(な)づけて費留(ひりゅう)と曰う
「敵と戦って勝ち、敵の城を占領しても、戦争目的を達成できなければ、結果は失敗である。これを骨折り損のくたびれもうけという」
まさに、ロシア軍のことを言っているようです。
● 戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり
「戦わないで敵を屈服させることこそが、一番いいのだ」
これは、孫子の考え方を貫いているものです。ロシアにこのような考え方があれば、今回の事態にはならなかったでしょう。
● 行くこと千里にして労せざるは、無人の地を行けばなり。守りて必ず固きは、その攻めざる所を守ればなり
「千里を行軍して疲れないのは、敵のいないところを狙って進むからである。陣地を必ず守り抜くのは、敵が攻めることのできない地形に陣地を構えるからである」
ウクライナ軍が何とか守れているのは、こういうことなのかもしれません。