プーチンも高く評価。ウクライナに和平をもたらす「唯一の解決策」

shutterstock_2162776261
 

トルコの仲介により実現したものの、3月29日を最後に中断したままとなっているロシアとウクライナの停戦交渉。しかしその際に話し合われていた合意案が、世界を救う鍵となりうるようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、ウクライナに和平をもたらしうる唯一の解決策として米国の有力外交専門誌が取り上げた「イスタンブール合意」の内容を、同誌の記事を引く形で紹介。さらにこの案の実現性についても考察・解説しています。

日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから

 

ウクライナの出口、イスタンブール合意案

ウクライナ戦争が混迷化しています。

ロシア軍はキーフ周辺からは撤退したものの、東部の要衝地域を固めつつあります。ウクライナのゼレンスキー大統領は意気軒高なものの兵士に疲れが見られます。

そんな中、米国の権威ある外交専門誌、「フォーリンアフェアーズ」がウクライナ和平の出口の可能性として3月29日にトルコで話合われたイスタンブール合意案(コミュニケ)に注目しています。

その時は、ロシア側の交渉責任者が「もっと強硬な姿勢で交渉に臨むべきだ」とロシア国内で激しく非難されたこともあり、この案にそった和平条約の締結は難しいと思われていました。

しかし、このイスタンブール案が唯一、ウクライナに和平をもたらしうる解決策になるのではないかというのです。

なぜならロシアの強固派の反発にもかかわらずプーチン自身は前向きだったからです。

「メディンスキー氏(交渉責任者)は、イスタンブール案を非常に高く評価した。プーチンに相談もせず、そのような評価をする可能性は極めて低いと思われる。そして、プーチン自身、4月末のグテーレス国連事務総長との会談で、この案を“真のブレークスルー”と呼んでいるのだ」(「フォーリンアフェアーズ」6月1日)

それでは、そのイスタンブール合意案とはどのようなものなのでしょうか?それは、ウクライナを永世中立国にするという案です。

3月29日のイスタンブールでの会談後、報道陣にリークされたこの提案は、少なくとも双方から予備的な支持を得ている。ウクライナはNATO加盟の野心を捨て、永世中立を受け入れる代わりに、西側諸国とロシアの双方から安全保障を受けるというものである。

保証人は、中国、フランス、ロシア、英国、米国の国連安保理常任理事国すべてと、カナダ、ドイツ、イスラエル、イタリア、ポーランド、トルコの5カ国とされる。これらの保証国は、ウクライナが攻撃された場合、同国からの公式要請を受けて緊急協議を行い、必要に応じて武力行使を含む支援を行うとしている。

このイスタンブール案では、ロシアはウクライナの安全保障に関わる利害関係者となる。ウクライナはいかなる軍事連合にも参加せず、自国領土に外国軍の基地や軍隊を持たない。ウクライナでの多国間軍事演習は、すべての保証国の同意がある場合にのみ可能である。

print
いま読まれてます

  • プーチンも高く評価。ウクライナに和平をもたらす「唯一の解決策」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け