特に外交界で注目するのは最近の北朝鮮挑発に対抗して政府が取る軍事・外交的措置が韓米共助を通じてなされるという点だ。
尹錫悦政府発足後、2度目の挑発だった先月25日、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射当時、韓米は直ちに安保・外交・国防分野の高官級チャンネルを全面稼動し、韓国軍の玄武(ヒョンム)-IIと米軍のATACMS(エイテキムス)ミサイルを共同で対応発射した。
その後も北朝鮮の7回目の核実験準備の動向が捉えられ、韓米は前日沖縄近隣海上で米国の核推進空母を動員して韓米連合海上訓練を行った。4年7か月ぶりのことだった。同日の北朝鮮の挑発は、この訓練に対する牽制球の性格が濃い。
リュ・ジェスン元国防部政策室長(予備役陸軍中将)は「北朝鮮の侵略的な行動に韓米同盟レベルで対応する意志と能力と勇気があることを示したもの」とし「北朝鮮の無謀な追加挑発を抑制する効果がある」と述べた。軍内外では、北朝鮮が核実験を強行する場合、米国の戦略資産が韓半島に緊急展開されるものと見ている。
今年の年明けまでは韓米は北朝鮮の連続ミサイル発射をめぐって温度差が明確だった。
米国は北朝鮮の武力挑発の度に「安保理決議違反」であることを挙げ、北朝鮮を糾弾する共同声明を主導し単独制裁まで発動したが、韓国は共同声明に3回連続不参加するなど、対北朝鮮糾弾・制裁に極めて消極的だった。
米国が重視する韓日米三角協力は文時代5年間の間、ずっと一種の「タブー語」だった。
しかし、韓米同盟再建を宣言した尹錫悦政府発足と先月、バイデン米大統領の韓日歴訪を契機に、韓米日協力は急速に復元される模様だ。
韓米日は3日、ソウルで北朝鮮核問題首席代表会合を開いたのに続き、7日にソウルでは3国次官協議を行う。北朝鮮の7回目の核実験の可能性など、北朝鮮の核対応が第1議題になる見通しだ。
外交筋は「この日の北朝鮮のミサイル乱射は、ソン・キム米国務省対北朝鮮特別代表の出国日(5日)、ウェンディ・シーマン米国務副長官の入国(6日)前日に行われた」とし、「強固になる韓米日協力に神経質な反応を見せたと見る余地もある」と述べた。
北のミサイル挑発や核実験に対して韓米(そして日本)がいかに対応できるのか。効果的な道が切り開かれるのか。結局は文時代と同じになってしまうのか。
簡単ではない作戦が必要なだけに、韓国に住むものとして期待と不安が同時発生するのは、いたしかたのない現象といえようか。
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