罰則も処罰もなし。問題教師を付け上がらせるいじめ防止法の欠陥

 

都内中2男子A君のケース

A君は小学高学年のときから、暴力などを伴ういじめの被害を受けており、小学6年生においては完全な不登校になった。いじめの加害者らが私立校を受験して散り散りになったことを知り、中学生からは学区の中学校に行くことに決めたが、なぜか私立校に行ったはずのいじめの主犯格が公立校に入学していた。入学式の翌日には、その加害者からいじめが再開したのだ。

この段階で相談を受けた私は、保護者と共に中学校に行って話をしたが、小学校からの引継ぎはされていなかったことが判明した。また、小学校当時の教員は、いじめがあることは重々知っていながらも、何もせず、A君のSOSを完全に無視していたことも分かった。

保護者によれば、相当に学校とはやりあったということだから、モンスターペアレントだとされてもいたのだろう。A君自身も教師という職業には幻滅しており、何もしてくれないでしょ。と思っていた。

ところが、運よく主な加害者とはクラスが異なっていたことから、中学1年生当時の学級担任が声を上げ、学年主任などの先生らと協議した結果、A君と主たる加害者とその取り巻きを物理的に離す対策と、入学式翌日に起きた問題への徹底した調査を実施することになった。

およそ、この担任の先生がやったことは、ガイドラインなどの手前の教員として当たり前のことなのだろう。

また、この担任の音頭で、他の先生らもよくA君をみるようになり、A君の意識が変わっていった。クラス内での席の工夫や部活での関わり方などに少し教員からエッセンスを入れていくことで、A君は小学生の時は適応障害という診断を受けていたが、普通に学校に通い、各種行事にも行けるようになった。もちろん友人もできて、私に初めて学校が楽しいと思えると言ってくれた。

A君の保護者は私に、なんてすばらしい先生の巡り合えたんだろうと絶賛しているが、当の担任は、そんなに褒められてしまってどこかくすぐったい思いなのが本音なのだそうだ。

なぜなら、当たり前だと思っていることを当たり前にしただけだから、なのだそうだ。

問題となる学校との差は、この学校はほとんどハードルが無かったということだ。

問題が深化する学校は、保護者が学校に申告する段階で、対応を協議しますとか、見守りますと言って、実質上何もせず放置する。

この中学校では、担任に電話した段階から保護者が放課後に学校に来るまでの時間で、出身小学校に電話を入れて、当時の様子を知る教員から状況の聞き取りをしていた。

だから、第一声は「辛かったね、できる限りのことはするから何でも言ってくれ」であったのだ。

生活指導の先生からは、小学校時代の不登校はいじめを原因とするところで、重大事態の要件をも満たすという情報が保護者に入ってきたとのことであった。

あくまで、被害側が要望するのであればという条件は付いたとのことだが、地域のいじめ問題として今後の改善につなげていく意味もありますとの説明を受けたのだ。

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