ウクライナは明日の我が国。世界的歴史学者が日本に発する警告

 

日本の報道に接していると、まるで世界は「民主主義vs独裁」を問う戦いに邁進し、米ロ(中国を含む)どちらにつくのかが厳しく問われ、大半の国がアメリカになびいているような錯覚に陥るが、そこでは「大国の争いには巻き込まれたくない」というかなり大きな第三の勢力が存在しているようなのだ。

そしていま、中国が手を携えてゆこうと考えているのが、まさにこうした勢力であるのだ。本来、日本もこの位置にいるべきだったのかもしれないという発想がどこからも出てこないのは不思議なことだ。

『日経ビジネス』が5月31日にアップした記事「エマニュエル・トッド氏『日本はウクライナ戦争から抜け出せ』」は、その視点から多くの示唆を与えてくれている。

トッド氏はウクライナ戦争に代表される世界の問題について、「真の問題、世界の不安定性はロシアではなく米国に起因しているのです。米国は世界的な軍事大国で、中東などで戦争や紛争をする、あるいは維持し続けている存在なのです。ウクライナ軍も再組織化しました。そしておそらく同じようなことをアジアでも引き起こそうとすると私は見ています。台湾に対してウクライナのように振る舞うべきだと言い始めています」と分析したうえで、「私の日本への助言は、『抜け出せ』ということです。(中略)日本が取るべき立場は、中立国という立場ではないでしょうか」と現在の日本の動き方に疑問を投げかける。

何とも不思議なことだが、2014以前のウクライナがキッシンジャーやジョージ・ケナン、ブレジンスキーから受けた警告と同じ警告が日本に向けられ始めているのだ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年6月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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