「福岡PARCO」(福岡市中央区)が14日夜、1階エントランスに設置していた展示物を閉店後に撤去すると発表した。11日から開催されていた店内イベント「パルコ感覚」の展示案内が“風俗案内所”を模していたことに来場者から批判が寄せられたためだ。アーティストの1人は、これを重く見て、作品の展示をとりやめている。誰がみても“アウト”な展示案内がなぜ事前のチェックをすり抜けて設置されることになったのだろうか?
ファッションビルに“風俗案内所”が出現の怪
「パルコ感覚」は「新たな感覚を広げよ」をテーマに九州一円のカルチャーを集約したイベント。
問題になった「パル感無料案内所」の外壁には、「本日の出勤キャスト〇〇名」の下に「パルコ感覚なら、初めてのご来店でも、ご指名なく遊べる」と書かれており、あきらかに風俗店の無料案内所を意識した作りだった。
【イベントの一環】性風俗店の無料案内所を模した展示案内に苦情、急きょ撤去 福岡パルコhttps://t.co/RwWHYHlMR2
担当者は「(歓楽街の)中洲に店が近いため、コロナ禍で打撃を受けた街を応援する意味があった」「不快な気持ちにさせてしまう表現・演出があり、おわびします」と話した。 pic.twitter.com/guUupAGSiD
— ライブドアニュース (@livedoornews) June 14, 2022
また、内部では下着姿の女性姿の絵に添えて、「刺激担当当店No.1」「感覚刺激コースを始めました」などの言葉が並んでいたという。
多くの女性客が来店する「福岡PARCO」で、こんな展示物が受け入れられるワケがない。
さらに参加アーティストの1人 「noe risa」さんは14日からの作品の展示をとりやめると表明している。risaさんの作品は自らのヌードのセルフポートレートであり、性風俗と結びつけられることを避けるためだと思われる。
ネット上でも「アーティストへのリスペクトがなさすぎ」「吉野屋シャブ漬け発言と変わらない」という批判の声が殺到。
展示案内を制作した従業員は朝日新聞の取材に対し、「歓楽街中洲に近いために、コロナ禍で打撃を受けた街を応援する意味があった」と説明している。
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風俗案内所が絶対NGとなる博多の特殊事情
福岡PARCOの目と鼻の先にある中洲は九州一の風俗街。なかでも風俗無料案内所の数は歌舞伎町を抜いて全国一を誇る。
2015年の福岡県の迷惑行為防止条例でキャバクラやスナックなどの客引き行為を禁じられたことが大きい。案内所の役割が大きくなり、10年で約4倍に膨れ上がった。
そのために、案内所同士の競争が生まれて、明るい照明や刺激的な写真やパネルが乱立するようになったという。
中洲の事業者や住民らは景観を損ねると度々博多署に要望書を提出。さらに暴力団が案内所からみかじめ料を受け取ったとして、資金源になっているとみられており、度々規制が強化されている。
もはや無料風俗案内所は中洲の風俗街を象徴するような存在になっている。
福岡の女性客でも一目でその展示案内が何を模しているかすぐ分かるだろうし、男性ならば身近にありすぎて、何が悪いのか麻痺してしまっていてもおかしくない。
せめて、展示案内の制作中に女性の意見が反映されてれば、今回の事態を免れたのかもしれないが、「PARCO感覚の」運営者は男性6人に女性1人だったという。
来場客とアーティストには女性が多いのに、これではあまりにもバランスが悪い。運営側の男女比率も考慮にいれるべきだったかもしれない。
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品格が疑われる今回の騒動。「おもしろい」という身内ウケだけが先走り、このような事態になることを想定できなかったのだろうか。多くのカルチャーを生み出してきたPARCOだけに、残念としか言いようがない。