岸田首相は今月11日、多忙な終盤国会の合間を縫ってシンガポールに出かけ、アジア安全保障会議の基調講演をこなした。現地滞在が24時間に満たない日程だった。
今月はさらに、26日から28日までドイツで開かれるG7サミットに出席したあと、NATO首脳会議が予定されている。こうした過密な外交スケジュールをあえて強行するのも、参院選を見据えたうえでのことだろう。
父親のアメリカ駐在で6歳から2年ほどニューヨークに住んだことがあるせいか、岸田首相の英語は、発音能力が高い。“外交の岸田”をアピールしたがり、バイデン大統領との関係を「安倍・トランプ」以上と思っているらしいのは、そういう背景があるからかもしれない。
半面、岸田首相はお世辞にも演説が上手とはいえない。それを自覚しているゆえ、国内を演説して回るより、外交で存在感を示した方が有権者へのアピール度が高いと判断したのだろう。
もちろん、その意向は、秘書官を通じて自民党選対本部に打診され、電通の担当スタッフが選挙への効果を分析したはずだ。
政権与党ならではの選挙戦術に目をくらまされないよう、しっかり政党や候補者を選びたいものである。
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image by: 首相官邸