なぜ今頃になって韓国は日本との関係を改善させようとしているのか

Grunge country flag illustration (cracked concrete background) / Japan vs South korea (Political or economic conflict)Grunge country flag illustration (cracked concrete background) / Japan vs South korea (Political or economic conflict)
 

前の文在寅政権で険悪になった日本との関係を、今度は「修復したい」と考えている韓国の尹錫悦大統領。しかし、日韓改善の「糸口」になるものはあるのでしょうか? 無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が韓国、日本両国の目線で関係改善の可能性について伝えています。

尹政府は日本との関係を修復したいと考えているのだが…

韓国政府が日韓軍事情報保護協定(GSOMIA=ジーソミア)を土台に両国間の実質的安保協力を強化する方案を検討中だ。現在、条件付き延長状態になっているジーソミアから「条件付き」の部分を外し、ジーソミアの実効性を確保するため、日本と情報分野を中心に実務的交流などにも積極的に乗り出すという。

朴振(パク・ジン)外交部長官は、トニー・ブリンケン米国務長官と13日(現地時間)会談後、記者会見を開き、「ジーソミアをできるだけ早く正常化させることを望む」と強調した。日本政府報道官の松野博一官房長官は、朴長官の発言と関連して「地域の平和と安定に寄与する」と肯定的に答えた。

政府が韓日安保協力強化を予告する中、北朝鮮は追加ミサイル挑発を準備中であることが確認されている。韓米軍情報当局は、7回目の核実験のための準備を終えたとされる北朝鮮が早ければ15日、遅くとも来週初めにもミサイルの追加発射に乗り出す兆候をつかんだようだ。(東亜日報ベース)

韓国政府関係者は14日、東亜(トンア)日報の電話取材に対し、「ジーソミアの正常化は条件付き延長ではなく、正常に続く状態を当然意味する」と明らかにした。それと共に「ジーソミアを基本枠組みとすることは両国間で必要であり、またできる具体的チャンネルや実務交流方式が何かを模索している」と伝えた。

韓国政府が日本との安保協力強化に乗り出すのは高度化した北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するためだ。日韓安保協力が、こじれた両国関係を解決する契機になるという観測も出ている。

日韓首脳は29、30日に開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席すると伝えられ、首脳会談が実現する可能性もある。

ただ、問題は日本の反応だ。日本内部的には依然として徴用工(被害者)に対する損害賠償問題の整理のほうが先だという気流が強い。

このような雰囲気を意識したかのように、韓国国防部もこの日、ジーソミア正常化と関連して「韓日の二国間で懸案となっている問題の進展状況を総合的に踏まえながら検討する」と慎重な立場を表明した。

日本政府もこの日、パク長官の発言に「歓迎する」という立場を明らかにはしているがトーンは静かだ。ただジーソミアの正常化が韓日関係改善の糸口になるという観測が出ているのも確かだ。

朴長官が公の場でジーソミア正常化に言及したのは、韓米日の安保協力と韓日関係改善のよび水という「二兎」を同時に捕まえるという意志であると分析される。

ジーソミアを正常化すれば、北朝鮮の7回目の核実験危機が高まる状況で、韓米日安保協力を強化すると同時に、韓日関係改善の糸口とすることができると判断したわけだ。

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