今年だけで17回発射。なぜ韓国は北朝鮮のミサイルを無力化する策を練るのか?

Rockets background North Korea map. Conflict of North Korea and the United StatesRockets background North Korea map. Conflict of North Korea and the United States
 

今年に入ってから17回もミサイルを発射した北朝鮮。そんな国と接する韓国では現政権でどのような対策が練られているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、中央日報を情報元として紹介しています。

盾と矛。韓国の対北朝鮮ミサイル事情

北朝鮮の核・ミサイルが尋常ではない。それに対する韓国側の対応策が中央日報に出ていた。ご紹介したい。

北朝鮮は1月5日を皮切りに、今年に入ってミサイルを17回も発射した。それも大陸間弾道ミサイル(ICBM)、弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイルなど多様な種類を発射した。戦術核を開発する目的の第7回核実験を準備しようとする情況もある。

韓国を核・ミサイルで圧迫しようとするのが北朝鮮の野望だ。韓国政府は8日「北朝鮮の核を頭に抱いて生きていくことはできない」とし「3軸体系を中心に、北朝鮮の核・ミサイル脅威を実質的に無力化する対策を(尹錫悦大統領)任期内に講じていく」と明らかにした。

3軸体系は

  1. 北朝鮮が核・ミサイルを発射しようとする時先制的に打撃するキルチェーン(KillChain)
  2. 北朝鮮のミサイルを空中で迎撃する韓国型ミサイル防御(KAMD)
  3. 北朝鮮が核・ミサイルで攻撃すれば、韓国が報復する大量報復報復(KMPR)

で構成されている。

KAMDは3軸体系の心強い後ろ盾だ。キルチェーンやKMPRもKAMDがあってはじめて力を得る。しかし、速いスピードのミサイルを迎撃することは本当に難しい。弾丸に弾丸を当てるほど高度のレベルがいる。

高難度のKAMD技術をどこまで開発し、どのように発展していっているのだろうか。

9~10日、済州国際コンベンションセンターで国防科学研究所(ADD)とカイスト(KAIST)が共同で開いた2022韓国軍事科学技術学会(KIMST=学会長パク・ジョンスン]総合学術大会でKAMDの発展方向について、KAMDの核心技術を研究するADDミサイル研究院が発表した「複合多層ミサイル防御体系発展方向」という特別セッションから調べてみた。

総合学術大会は国内外の関連機関間の学術交流の場としては国内最大規模だ。2,000人以上が済州島の西帰浦(ソグィポ)に集まり、周辺でタクシーを捕まえるのが大変だったほどだ。

矛と盾の対決のように、北朝鮮のミサイルと韓国のミサイル防御は激しく対立している。北朝鮮は液体エンジンと弾道ミサイルから固体エンジンと巡航ミサイル・極超音速ミサイルへと進化を遂げている。

液体エンジンミサイルは発射準備に時間がかかる。しかし、固体エンジンミサイルは即時に撃つことができる。また弾道ミサイルは弾道を描いて飛ぶが、巡航ミサイル・極超音速ミサイルは軌道を予測しにくい。

さらに、北朝鮮は弾道ミサイルに弾着地点の前で少し上に跳ね上がり、再び落ちる「プルアップ(pull-up)機動」を追加した。今月5日、同時多発的に数種類のミサイルを混ぜて発射する方法もこれ見よがしに見せてくれた。いずれも韓国のミサイル防衛を避けようとする手段だ。

それなら、韓国はどのように対応すべきか。迎撃の機会を増やす多層防御システムが正解だ。第1段階で迎撃できなくても、次の段階で捕まえる機会があるからだ。機会が多ければ多いほど迎撃の可能性は高くなる。

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