今年だけで17回発射。なぜ韓国は北朝鮮のミサイルを無力化する策を練るのか?

Rockets background North Korea map. Conflict of North Korea and the United States
 

弾道ミサイルは垂直的に多層防御網を築く。弾道ミサイル迎撃の始まりは探知だ。韓国は弾道弾早期警報レーダーであるイスラエル製EL/M2080を2基から4基に増やした。

また、静止軌道に早期警報衛星を上げ、北朝鮮の弾道ミサイル発射を感知する案も推進している。

レーダーは、地球が丸いためミサイルが電波の届く高度に上がってこそ追跡できる。一方、人工衛星は弾道ミサイルの発射過程でその火花を発見することができる。

レーダーと衛星を活用すれば、北朝鮮弾道ミサイルの全段階をリアルタイムで追跡できるようになる。

弾道ミサイルは発射後、上昇→中間→下降段階を経る。段階別に高度別に防御網を備えなければならない。まず、ミサイルの上昇段階で国産戦闘機KF21ボラメが迎撃に乗り出す。ADDはKF21に搭載する上昇段階迎撃用高速迎撃弾を研究している。

上昇段階は推進力がたくさん必要なため、大型の第一段階の推進体が必要だ。形が大きければ大きいほど探知に引っ掛かりやすい。弾道曲線を描いて上がるためその軌跡もすぐにわかる。空気の抵抗を受けて速度も遅い。迎撃しても放射性物質や破片が北朝鮮側に落ちる。

弾道ミサイルは大気圏外で推進体の燃焼を終え、慣性の力で頂点高度に上がった後、落下を始める中間段階と重力の力で目標地点に落ちる最終段階を経る。

中間段階下層と最終段階上層は高高度ミサイル防御(THAAD・サード)体系とL-SAM(長距離地対空ミサイル)2が担当する。

サードは在韓米軍が運用している。L-SAMは2024年までに開発を終える計画の迎撃ミサイルだ。L-SAM2(L-SAM改良型)はL-SAMの性能を高め、サード(40~150km)と似た高度で迎撃できるミサイルだ。その下ではL-SAMが迎撃に乗り出す。

最終段階の下層ではパトリオットと天宮-2、天宮-3 =(天宮-2改良型)が担当する。パトリオットは米国が作った迎撃ミサイルだ。

先月30日、第144回防衛事業推進委員会でパトリオットのミサイル数量を大幅に増やし、従来の発射台の性能を改良する案が決定された。従来の保有パトリオットを最新型のPAC-3MSEにアップグレードする事業だ。

国産迎撃ミサイル「天弓2」はアラブ首長国連邦(UAE)に輸出された。天弓3は、多機能レーダー(MFR)を天弓2の手動位相配列レーダー(PESA)から能動位相配列レーダー(AESA)に変えたミサイルだ。AESAは弾道弾をより遠くから、より多くの標的を同時に探知することができる。

北朝鮮がともすればソウル首都圏を火の海にすると威嚇するが、その手段が長射程砲と放射砲(多連装ロケット砲)だ。

これらの脅威は「韓国型アイアンドーム」と呼ばれる長射程砲迎撃体系(LAMD)が処理する。LAMDは2029年までに体系開発を完了する計画だ。

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