ロシア制裁の“返り血”を浴びる日本。プーチンから我が国を救う唯一の手段は?

 

だが今後は違う。ロシアは米国側に対し、ウクライナでの軍事的な戦争で優勢を確立しただけでなく、経済面の世界規模の対立(金資源本位制とドル本位制との果たし合い)でも中国インドなど非米諸国を率いて優勢を増している。ロシアは、軍事と経済を合わせた複合戦争・複合世界大戦の全体で、米国側に勝っている。米国側は、米連銀(FRB)のQE終了・QT開始によるバブル崩壊もあり、インフレと物不足と不況と金融崩壊が合わさって、どんどん経済が悪化している。ロシアの優勢と米国側の劣勢が拡大する一方になりそうな今後、ロシアは今までの慎重な姿勢をやめて、ロシアが日独などへの石油ガス資源類を使った嫌がらせ・加圧を増加し、日独がどこまで対米従属を続けて自滅していくものなのか、どこかで対米従属を離れてロシアと和解して非米側に足を突っ込んでくれるものなのか、見定めようとしている。ロシアは今後、日本へのガス輸出についてしだいに強い姿勢をとっていくようになる。

もっとひどくなる金融危機
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日本が対米従属の一環としてのロシア敵視をやめずに今後も続けた場合、ロシアはサハリン2の日本勢の利権を没収して中国やインドなど非米諸国に売ってしまい、日本は二度とサハリンからガスを輸入できなくなる(中印などから高値で転売してもらえるかもしれないが、日本のガス料金は高騰する)。ロシアはガスの利権を中印などに売れるので、日本から敵視され続けても全然困らない。困るのは日本の側だけだ。

現物側が金融側を下克上する

ウクライナ開戦後、世界経済は米国側と非米側(ロシア側)に分割され、米国側は非米側から石油ガスなどエネルギーや資源類を輸入しにくくなった。資源類の利権の大半は非米側が持っており、米国側はこれから半永久的に資源類が不足・高騰した状態が続く。日本など米国側の諸国民は、インフレや物不足、食糧難、不況や金融バブル崩壊に苦しめられる傾向がこれから増していく。非米側の途上諸国でも食糧難などが起きるが、人々の生活水準の下落幅は、これまでいい生活をしてきた米国側の先進諸国の方が大きい。日欧の国民は、政府が対米従属の姿勢をとってロシア敵視を続けているがゆえに、生活苦に苦しめられてひどい目にあう。事態はまだ序の口だ。米国のロシア敵視は今後1-2年かもっと長く続くので、その間ずっと米国側の経済状況が悪化し続ける。

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戦後の日欧が対米従属の国是を採用したのは、圧倒的な覇権国である米国が世界のエネルギー利権を握り、米国に従属している限り、軍事だけでなくエネルギーや食料など資源類の供給に関しても安全が保障されるからだった。軍事経済両面での安全保障策として、日欧は対米従属してきた。だがウクライナ開戦後、気づいてみたら世界のエネルギー資源類の利権の多くは、米国側でなく露中イランなど非米側に取られている。サウジアラビアも非米側になってしまっており、バイデン米大統領が懇願してもサウジの皇太子は石油を売ってくれなくなっている。米国は、日欧など自陣営の従属諸国(同盟諸国)の経済安全保障を守ってやれなくなっている。軍事的にも、中露結束の結果、米国は中露と互角になっている。もしロシアが経済制裁への報復として欧州を軍事攻撃しても、米国がNATOの5条に沿って欧州を守るために反撃してくれるのかどうか怪しい。日欧は米国に守ってもらうために従属しているのに、米国はすでに日欧を守れなくなっている。エネルギー資源類の確保など経済安保の面でそれが顕著になっている。

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