ジリ貧プーチン。西側とロシアの間に下ろされた新たなる“鉄のカーテン”

 

敵対国ロシアに対して、リトアニアからは、カリーニングラードへの鉄道貨車便の通過を禁止され、ノルウェーからは、スバルバル諸島のロシア人居住地域への物資輸送を止められた。

ロシア国債のデフォルトも起き、新しい外貨建て国債の発行ができなくなった。SWFITから追い出されたロシアは、インドに輸出する石油代金受取りには人民元を利用するようである。

ロシアの同盟国である中国からも、ロシア向け輸出が60%も減っているという。米国もロシアに軍事転用される中国製民生品への制裁を強化して、その企業への半導体輸出を禁止するという。このため、中国企業もロシアへ輸出できなくなっている。このため、輸入より輸出が多くなり、大幅な黒字でルーブルの価値が上がっている。

前回でも述べたように、ロシアは石油施設や天然ガス施設の維持メンテもできずに、その生産量を減らしている。このため、欧州や日本への供給を減らすしかない。同盟国中国とインドへの石油・天然ガスの供給は止められないが、その代金は欧州や日本への販売価格の半分であり利益が減り、ガスプロムも今年の配当はできないと表明した。

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もう1つが、ロシア最大(世界第二)の「ウレンゴイ・ガス田」の「パイプライン火災」は続いているようで、火災の規模が拡大中である。真の原因は「地下の埋蔵ガス田」に火が移り、鎮火には数年かかる可能性があるようだ。それも欧米技術が必要であり、このため、このガス田のガスが採取できずに、ドイツへのガスを60%削減したようだ。

このため、他での増収が必要になり、サハリン2は日本企業への支払いがあり、この支払を止めてガスプロムの収入を増やして、国家財政への目減りを少なくする必要があった上に、日本の岸田首相が、G7でロシアを非難したことで、プーチンは接収を強行した。

日本の設備を奪うことになり、日本は二度とロシアでの投資をしてはいけない。欧米日など先進国はロシアとは経済的絶縁状態になる。

このため、ロシアの国家財政と経済の危機になることが見えてくる。今はソ連時代の兵器などの備蓄があり、それを倉庫から出して使用できるが、徐々に損耗がすると、それもできなくなる。ジリ貧な状態になっていく。

しかし、プーチン大統領も東部攻撃の成功で、再度、ウクライナ全土の支配を狙っていると、米軍情報機関は述べている。このプーチンの意図をくじく必要があるので、欧米諸国も大量の武器援助をウクライナに続ける必要になっている。

ウクライナもEUからの軍事支援がないと戦争を継続できないので、ウクライナで稼働している原発での電気をEU諸国に供給して、ロシアからEUへの天然ガス供給削減の影響を小さくするようだ。

日本も原発を再稼働させて、電力不足を解消して、ウクライナ戦争の影響を少なくする必要がある。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2022年7月4日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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