野党第1党の座を守れるか?創立メンバーが存在感を放ちだした立憲民主党

2022.07.05
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日本維新の会の猛追もあり、7月10日に投開票が行われる参院選では、野党第1党の座から転落する可能性すら報じられる立憲民主党。しかしこのタイミングで、党創立メンバーたちがにわかに存在感を放ちだしたようです。そんな彼らの躍動ぶりを伝えているのは、元毎日新聞で政治部副部長などを務めたジャーナリストの尾中 香尚里さん。尾中さんは今回、党創立メンバーたちがなぜ覚醒を果たしたのかを考察するとともに、再び「批判することの意義」を訴え始めた彼らに対して、尾中さん自身がその姿勢を評価する理由を記しています。

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プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

立憲創立メンバーの存在感

10日の投開票日まで1週間を切った参院選。序盤の情勢調査などで苦戦が伝えられていた立憲民主党の中で、ここへ来て強い存在感を発揮し始めたのが、枝野幸男前代表や菅直人元首相ら、党の創設当時の主要メンバーたちだ。「立憲から野党第1党の座を奪う」と意気込む日本維新の会を徹底してこき下ろし、返す刀で「野党は批判ばかり」という攻撃を逆手にとって「批判することの意義」を訴える。攻め上がるモード全開に入った立憲の戦略が、終盤の選挙戦にどんな影響を与えるのか注目される。

「強い者、豊かな者をさらに強く豊かにしても、世の中には行き渡らない。これからの時代は、社会を下から支えて押し上げる。右でも左でもなく、『上からの政治』を『草の根からの政治』に変えていかなくてはならない。これが立憲民主党の結党の精神です」

2日夕方、京都市下京区の京都タワー前。枝野氏は京都選挙区(改選数2)に立候補した盟友・福山哲郎前幹事長の応援演説に立った。街宣車には、先の衆院選で落選し、参院選で比例代表に立候補した辻元清美氏、東京選挙区(改選数6)で4選を目指す蓮舫氏の姿も。立憲のオールスターキャスト的なメンバーの集結に聴衆も盛り上がり、「京都大街宣」は一時ツイッターのトレンド入りを果たした。

枝野氏の演説の内容は、立憲が結党した5年前、同じ場所で福山氏とともに演説した時と同じもの。いわゆる「希望の党騒動」で枝野氏ら旧民進党のリベラル派議員が「排除」され、生き残りをかけた新党結党がわずか20日でまさかの野党第1党へと駆け上がった、あの時の「原点」に還って再び政治の変革に挑戦する強い意思を示したようにも見えた。党の苦戦が伝えられているにもかかわらず、街宣全体の空気は驚くほど明るかった。

あの5年前の結党時と同じように、現在の立憲は難しい状況にある。

枝野氏ら創立メンバーは「戦後最小の野党第1党」という状況のなかで、国会対応から政党の合流までわずかな間にさまざまな障害を乗り越え、昨秋の衆院選で自民党との「政権選択選挙」に持ち込むことに成功したが、衆院選では合流で得た公示前議席を割り込み、辻元氏の落選という痛手も負った。枝野、福山の両氏も執行部を降り、党運営の最前線から離れた。

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