彼らが大きく開き直って攻撃モードに転じたのは、単なる「維新との主導権争い」だけではない。背景にあるのは、ロシアによるウクライナ侵攻という現実だ。辻元氏は3日、蓮舫氏とともに吉祥寺駅前で街頭演説に立ち、こう訴えた。
「ロシアにも強い野党があれば、戦争を回避できたかもしれない。皆さんの1票で与野党伯仲のしっかりした議会を作り、民主主義を強くしておくことが、戦争を絶対させない唯一の方法です」
立憲のこうした姿勢が選挙戦術として奏功するかどうかは、筆者には分からない。むしろ、選挙中のマスコミ批判は、党にとってリスキーであるとも言える。
ただ、筆者はそれでも、党のこうした姿勢は評価したい。政治に限った話ではないが、最近は批判することをまるで「悪」のようにとらえる空気が蔓延しすぎている。誰かがどこかでこの流れを止めないといけない、と考えるからだ。批判という言葉に再び、ポジティブな意味を与えなければならない。
結果的に立憲の姿勢は、党にとって望ましい選挙結果につながらない可能性もある。それでも「批判することには肯定的な意味がある」という考えが社会に少しでも取り戻されるなら、それは野党全体の再生に向けた、小さな、しかし確かな一歩になるのではないだろうか。
まずは10日の投開票でどんな評価が下されるのか、興味深く見守りたい。
image by: Twitter(@立憲民主党)