軍産複合体の“手下”米バイデンがウクライナ戦争を引き起こした動かぬ証拠

 

NATO拡大のための委員会でロビー工作

旧東欧が軍需産業にとって美味しい市場であることについいては、米航空宇宙産業協会の国際副部長のジョエル・ジョンソンがNYタイムズの97年6月29日付であからさまに語っていた〔25年前のこの記事のコピーを私が今も保存しているというのは我ながらなかなか凄い!〕。「ジェット戦闘機だけで100億ドルの潜在市場がある。そのジェットには操縦シミュレーター、交換部品、電子機器やエンジンの改良版などが付いて回る。次に輸送機、多目的ヘリ、攻撃型ヘリが来る。軍事通信システム、コンピューター、レーダー、無線やその他の近代的戦闘部隊に必要な道具もだ」と。だからたとえばLM社は、95~96年の選挙シーズンだけで230万ドルの政治献金を注ぎ込んだが、そんなものは2003年に至ってポーランドが38億ドル分のF-16戦闘機を購入したことで十分に元が取れたのである。

クリントン大統領は、第1陣のポーランド、ハンガリー、チェコのNATO加盟には積極的だったが、次のルーマニアとスロベニアについてはその国内民主主義の状況を理由に難色を示した。そこでブルース・ジャクソンは96年に議会向けのロビー団体として「NATO拡大のための米国委員会」(後に「NATOのための米国委員会」と改称)を立ち上げ、自ら委員長を務めてロビー工作を強化することにした。

その時、議会上院で外交委員長を務めていたのがジョー・バイデンで、彼はポーランド、ハンガリー、チェコのNATO加盟を熱心に推進し、議会の同意を取り付けるに成功するや、「冷戦時代の西側軍事同盟にとっての敵〔だったロシア〕の面前で、かつてスターリンがこの3カ国に強制した歴史的な不正義を正すことができた。これは今後50年間に及ぶ平和の始まりである」と宣言した。どうもよく分からない論理だが、要するに、旧ソ連の前庭だった旧東欧に手を突っ込んで味方に引きつけることに成功したということなのだろう。

NATO拡大委員会の共同創始者は弁護士で後にクリントン・オバマ両政権のホワイトハウスで顧問の仕事をすることになるグレッグ・クレイグで、たぶんその線からネオコンの大物ポール・ウォルフォウィッツ、リチャード・パールと強い繋がりを持つようになり、彼らを委員会の理事に迎えた。また、ネオコンそのものではないが、強烈な反共主義の立場からしばしばネオコンと共闘した故ジョン・マケイン上院議員や、諜報世界を歩いて後にアメリカン・エンタープライズ研究所に入るゲイリー・シュミットらもこの委員会に入った。

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