「城攻め」では上位の策。中国共産党の狙いは台湾の“中からの崩壊”

 

さて、長くなりましたが、これは中華人民共和国が台湾を攻撃するときも同じであるということになります。そのことから、中国は台湾の中に裏切り者を作る工作をしています。しかし、これが通常の方法であれば、ロシアのウクライナのような形で、うまくゆかなくなるということになるでしょう。

ここで「ウクライナとはなにか」ということになります。ウクライナの場合は、ウクライナ国内において「政府と国民」の間に支持率の低下ということがありました。

しかし、それはウクライナ国民がゼレンスキー政権に対して敵対しているということでもありませんし、また、そのことでロシアに政権を移譲するという意思表示でもありません。

ここにあるのは、当然に、「ウクライナが独立をしながらよりよい政権にする」ということでしかなく、特にコロナウイルス対策などでそのように考えられたものであり、ロシアになってよいという考えではないのです。

中華人民共和国が、台湾に対してどのような工作をするか。当然この工作は「中国人民解放軍が攻めた場合、台湾国内で内応して人民解放軍と共同歩調をとる」ような人を増やす工作以外にはないということになるのです。

さて、その中で言えるのは、まずは「中国国民党」という政党になります。中国国民党は、もともと中国の中の国共内戦で敗北し台湾に渡ってきた人々です。このような人々は「外省人」といいます。一方で中国国民党が入ってくる前に台湾に住んでいた人々は「本省人」という言い方をします。

外省人は、いつかは「大陸に戻る」というような考え方を持っています。そのために、いつまでたっても、台湾人というような考え方を持っていませんので、文化も生活習慣も大陸的なところがあるということになります。

同時に、その台湾の外省人は、もともと台湾に住んでいた本省人を「蔑視」しているということになります。そのうえで1947年に、中国国民党、台湾から見た「外省人」は、「2・28」事件を行います。

228事件とは、

国民党支配下の台湾における、外省人と本省人(台湾人)との衝突によって生じた大規模な流血事件。民主化が進む李登輝(リー・トンホイ)体制下で真相究明のための再審査が行われ、1992年2月には膨大な調査報告書が作成されて李総統自ら遺族を弔った。

 

47年2月27日、台北市内の夜市で、複数の警官がヤミたばこ密売の女性を横暴に摘発しようとして市民との間に混乱が生じ、警官の威嚇発砲が原因で1人の市民が死亡、これに抗議するデモが翌28日、台北、基隆を始め全国に拡大した。当時の行政長官・陳儀らは抗議に立ち上がった市民を徹底的に弾圧したため、2万人以上とされる死者が発生し、外省人、特に国民党指導層への台湾民衆の心理的反発は決定的となった。

 

事件後45年にして台湾民衆の心理的な傷がいやされたことは、台湾の将来にとっても重要な展開といえる。(知恵蔵より抜粋)

という事件です。

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