「国家承認」の見返りか?支配地域再建に北朝鮮の労働力を受け入れるロシア

 

さらに、海外の北朝鮮の動きで注目すべきものが18日同日にあった。

北朝鮮に駐在するロシアのマツェゴラ大使は、18日付けのロシアの新聞「イズベスチヤ」とのインタビューで、「北朝鮮は国際的な舞台で常に良心に従い、自分が正しいと信じる方法で行動している」と述べた。北朝鮮が一方的に国家承認したウクライナ東部の親ロシア派の支配地域を巡り、インフラなどの建設のために親ロシア派が北朝鮮からの労働者を受け入れる可能性に言及し、北朝鮮の決定を評価したのである。

その上で、「技術力が高く、勤勉で、厳しい条件下でも率先して働く北朝鮮の労働者は、破壊されたインフラや施設の再建に向けて大きな力になるだろう」と述べ、インフラなどの建設のために親ロシア派の指導者が北朝鮮からの労働者を受け入れる可能性に言及した。

大使は、北朝鮮のいくつもの企業はソ連の技術協力で建設されており、その設備は、ドネツク州スラビャンスクやクラマトルスクの重機械工場などドネツク地域で現在でも製造されていると指摘。その上で、北朝鮮側はこうした工場で生産される部品や設備を自国工場の修繕や更新の際に使うことに「強い関心」を持っており、北朝鮮と2つの「共和国」の間には交易対象になる多くの商品があると強調もした。

海外で働く北朝鮮の労働者を巡っては、国連安全保障理事会の制裁決議で、2019年12月までにすべての国連加盟国に対して本国に送還することを求めている。今回のように、これに違反する形で労働者が新たに派遣されれば、北朝鮮の外貨の獲得につながり、核・ミサイル開発の資金源となるおそれもある。北朝鮮は、コロナ禍を理由に人の動きは制限されているようだが、実は北朝鮮には国内の統制とは関係ない海外派遣労働者の問題が再注目される。

宮塚コリア研究所副代表・國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子

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image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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