ホンマでっか池田教授が考察。地震大国・日本のエネルギー戦略とは?

 

確率的に大地震は必ず起き、それに随伴して、原発事故が起きる蓋然性は高い。今日も明日も明後日も大丈夫だと言っても、50年後まで大丈夫だという保証はない。喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということわざがあるが、福一の事故はまだ喉元さえ過ぎていない。原発を動かさなければ、国民が生きていけないわけではないのだから、原発ゼロを前提に、電源戦略を見直した方がいい。

というわけで、現在の日本の電源構成についてまず見てみよう。2020年の統計で見ると、化石燃料が76.3%で、内訳はLNG39.0%,石炭31.0%、石油6.3%である。原子力3.9%、再生可能エネルギー19.8%で、内訳は水力7.8%、太陽光7.9%、風力0.9%、地熱0.3%、バイオマス2.9%だ。前回書いたように、ドイツは2022年度をもって、電源構成比12.8%を担っていた原発をやめて、他のエネルギーに切り替えると宣言しているわけだから、僅か3.9%の日本が、他のエネルギーに切り替えることができないはずはない。

政府は、SDGsの追い風もあって、太陽光や風力に力を入れているが、太陽光発電には、広大な敷地が必要で、1MW(1000KW)の出力の発電所を設置するのに、1~2ha(10000~20000m2)の面積が必要である。風力発電所はさらに広大な面積が必要で、同じ出力を出すのに、太陽光発電のさらに3.5倍の面積が要る。原子力発電所はこれらに比べ同じ出力を出すのに太陽光発電所の100分の1の敷地面積で済む。火力発電所はさらに狭い敷地面積で事足りる。

日本のように狭い国土で、太陽が良く当たる場所にメガソーラーを大量に設置するのは国土の有効利用の観点からしても賢くない。食料自給率がカロリーベースにして37%しかないのだから、穀物を作って備蓄しておいた方が安全保障上ずっと賢い。さらに、太陽光発電や風力発電の発電量は安定せず、お天気次第という欠点がある。

前回にも書いたように、こういった自然エネルギーに依拠すれば、例えば太陽光発電の比率が増えれば増えるほど、雨が続けば電力が足りなくなる。風力発電に頼ると、無風の日が続けば、やはり電力が足りなくなる。そうなると、代替のエネルギー源が必要になり、結局火力発電所を作らざるを得なくなる。

電力は送電線が長くなればなるほど、途中で減衰してしまうので、発電所はなるべく電力消費地の近くに建てた方が効率がいい。その点、火力発電は原子力やメガソーラーや風力と違って立地条件を選ばないので、消費地の近くに建てることができ、その分コストパフォーマンスはいい。(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』2022年7月22日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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