ロシアとの関係悪化で窮地の欧米を日本の「ワンセット産業」が救うワケ

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ロシアに依存していたエネルギーや基礎資材の供給不足が続き物価が上昇。各国でインフレが進み世界が困窮しています。この状況でも日本には、世界の景気を盛り上げるポテンシャルがあると語るのは、日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で津田さんは、日本には産業全分野をカバーする企業が健在で、ウラン再処理工場まで維持していると日本の強みを解説。農業においても、最悪主食の米は国内生産で賄えるので餓死しないと指摘。日本人が気づいていない日本の長所を生かせば、世界に貢献し日本も潤う方法があると伝えています。

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ワンセット産業の強み

世界は、エネルギーや基礎資材などの供給不足の事態になっている。それにより、不景気になっている。世界景気を盛り上げるには、ロシアが生産している資材に代わって、日本企業が補給すればよいことである。

ロシアは、石油、石炭、天然ガス以外にパラジウム、濃縮ウラン、アルミニウム、肥料、農薬など多数の基礎資材の輸出国であり、ロシアからの輸入を止めると、世界的な不足になるのはしょうがない。

この事態でも、日本はワンセットで産業全分野をカバーする企業があり、その企業群が倒産を免れて、今も健在である。米国企業は、ほとんど倒産して、ロシアからの安い物品に置き換えてしまっている。このため、米国は基礎物品の不足という事態になり、インフレが9%にもなってしまったのだ。

それに比べると、日本のインフレは、2%程度であり、欧米に比べて相当に低いのは、基礎物品もハイテク製品も一通り、日本企業で充足できるからで供給不足が起きない。

ただ、工場が海外にあることで、船便の手配ができないと、届かないだけだ。日本企業に生産ノウハウがあるので、増産が容易であり、ロシア生産分の代替も可能である。この増産に政府は補助金を出してもよいはずだ。

そのよい例が、濃縮ウランであり、日本は大量の濃縮ウランの原料を持っている。使用後のウラン燃料であり、これを再処理して、新しい濃縮核燃料にできる。しかし、米国は全量濃縮ウランをロシア企業に依存していた。このため、原発稼働を続けるには代替の濃縮ウランが必要になっている。

日本の濃縮ウラン工場は、稼働もさせないで維持しているが、六ケ所村のウラン再処理工場である。この出番が来た。ロシアは濃縮ウランの40%程度を生産して、世界に供給している。この代替工場が日本にはある。

アルミや希少金属なども、日本は都市鉱山を持っている。その鉱山から掘り出せばよいことで、この企業群も多くある。

食糧生産でも、ウクライナとロシアの小麦がなくなり、世界的な食糧不足というが、日本でも小麦を作っている。日本は気候的に南北に伸びているので、熱帯の植物以外は、日本で生産ができる。つい最近では、小笠原でコーヒーの栽培もできたので、熱帯の植物も育てることになった。このように、食糧もワンセットできるのである。

国土が狭く、それぞれの気候の面積も小さいので、収穫量は多くなく、日本国内の需要分しかないが、輸入を制限できる。そして、全国で収穫できるコメがあり、食糧不足にはならない。貧乏人はコメを食えとなるだけだ。餓死にはならない。

このようなワンセットで工業から農業を持つ国は、世界的にも日本だけである。その強みを日本人は気が付いていないだけである。

世界の足りない物品を、日本企業が作り提供すれば、世界景気も持ち、日本も潤うことになる。日本の弱点だけを見て、評論家は論説しているが、日本の長所を見て、どう世界に貢献するのかを考えた方がよいを思うが、どうであろうか?

さあ、どうなりますか?

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