誰一人として予想もしなかった安倍元首相の不慮の死が、自民党内に「政争」を引き起こそうとしています。このような動きに対して「非常に不謹慎」と不快感を露わにするのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、この時期に自民党が全力で取り組むべき5つの課題を挙げるとともに、それらは政争によりバランス点を求める内容ではないとの厳しい見方を記しています。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年7月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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安倍氏亡き後、10月以降の「日本の政局」はどうなってしまうのか?
結局のところ、安倍晋三氏の国葬は9月27日となりました。また、参院選を受けての内閣改造・党三役人事は9月上旬まで調整を必要とするようです。ということで、国葬の後の10月の政局が非常に気になるところです。
具体的には、大宏池会が成立して岸田政権が安定するとか、清和会は草刈り場になるとか言われていますが、分かりません。例えばですが、菅義偉氏が2F派を率いて、これを清和会が支えて岸田に対抗などという話も、話としてはあるようです。
非常に不謹慎だと思います。
10月の日本は、とにかく経済衰退をスローダウンさせるための構造改革が待ったなしです。また中国の動揺と、ウクライナ情勢の継続という場合には、とにかく日本は政治的安定を達成しなくてはなりません。政争をやっている場合ではないのです。具体的には、次の5点を提言したいと思います。
1つ目は、挙党体制です。仮に菅+2F+清和会連合ができたとして、そのグループは構造改革を掲げて、岸田に実行を迫り、岸田に呑ませて支えるという筋書きしかないと思います。
2つ目は、対中外交です。仮に習近平の続投もしくは習近平派の中での世代交代となるにしても、あるいは団派への政権交代で経済合理性が復権するにしても、日本や米国との軋轢は避けられません。かと言って、中国との緊張を拡大して、それに耐えられる局面でもありません。中国に対して、関係改善を実現し、その上で是々非々の強い立場を示す、他に選択肢はないと思います。
3つ目は、コロナ後の国内経済です。サービス業を中心に、コロナ明けとなった時点で資金がショートする産業は多くなると思います。そこをどう救済していくのか、果敢な政策が必要です。
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