大きな期待を寄せられていた韓国・尹錫悦大統領の評価が「悪すぎる」理由

Flag of South Korea and speaker podium tribune. Political event or statement related conceptual 3D rendering
 

文在寅に対する支持は「われわれがいる、やりたいようにしろ」という言葉が象徴するように、無批判的ファンダムが本流だ。支持者たちは韓国社会の保守主流勢力と戦ってきた文在寅に自分を投射し、心理的同質感を感じる。だから、何をしても支持率が落ちない(テッケムン=頭が割れても文在寅=といわれる連中だから)。もちろん政治家にとって無批判的なファンダムは健全な支持ではない。しかし、先の大統領選挙を基点に支持対象を李在明に乗り換えた人々の間で、そのような現象が再燃していると聞く。かなり憂慮される。

一方、尹大統領に対しては批判的支持が本流だ。文在寅―李在明ラインで左派ポピュリズム独裁が続けば、国が滅びそうな恐怖に陥った合理的中道・保守層がその輪を断ち切る代表選手として尹錫悦を選出したのだ。大統領選挙当時、その役割を引き受けるのに最も適格だったから彼を選んだのであって、政権交代さえ実現できるなら尹錫悦でなくても構わなかった。だから文政権5年間「やりたい放題の文」に嫌気のさした中道・保守層は、尹大統領に反対に言いたいのだ。「やりたい放題だけはやってくれるな、尹」と。

残念ながら尹大統領は当選後、「やりたいように」やった。大統領選挙前から「検察共和国」憂慮と金建希女史周辺問題がふくらんだにもかかわらず「検察家族」と学校同窓を重用し、警察局新設を強行し、金建希女史周辺問題がいつ爆発するやもしれない状態で放置している。そんなこんなで先の大統領選挙の時、尹候補を支持した人々を懐疑心に陥れることになった。

国民は、治者に自分を治める権力を与える代わりに、権力者も自分のものを差し出すことを望む。それは自己犠牲だ。尹大統領はそのような自己犠牲なしに政治参加宣言9か月ぶりに最高権力者の座に就いた。それが尹大統領の権力の最初からの弱点だ。

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