大きな期待を寄せられていた韓国・尹錫悦大統領の評価が「悪すぎる」理由

Flag of South Korea and speaker podium tribune. Political event or statement related conceptual 3D rendering
 

民主化以後、韓国の歴代大統領は大なり小なり自己犠牲と献身のストーリーがある。キム・ヨンサムおよび金大中は民主化の巨人、盧武鉉は地域感情解消のために奮闘した「バカ盧武鉉」の神話がある。李明博は清渓川を復元して市民に返したという公的な貢献があり、朴槿恵は両親を二人とも銃撃で失った犠牲の時間が、文在寅は人権弁護士として生きた時代があった。

尹大統領には何の自己犠牲があったのか。司法試験9浪(9回目にやっと合格)したというが、その当時の受験生活を9浪まで後押しできる家庭がどれほどあったか。朴槿恵政権時代、国家情報院のコメント事件の捜査で左遷されたとはいえ、「人に忠誠を尽くすのではない」という言葉で全国的知名度を得たのではなかったか。文在寅政権で検察総長になった後、生きた権力と対決したのは、自己犠牲というよりは成功の盃に近い。

権力はただではない。しかも、大統領という最高権力は…。ところが尹大統領は当選後、梁香子(ヤン・ヒャンジャ)議員の表現どおり「人生目標を達成した人のように」行動した。それで尹錫悦を支持した人々は彼に尋ねているのだ。「大統領選挙期間中ずっと心配しながら見ていて、いざ大統領の権力を握らせたら、あなたが出したのは何か」と。

尹大統領は今からでも自己犠牲の姿を見せなければならない。自己犠牲とは何か。簡単に言えば、自分のこと、自分に近い人が損することだ。検察にもっと冷たく接し、友人と同窓生を遠ざけ、尹核幹(ユンヘッカン=尹錫悦の核心幹部の意)という人々にはさらに厳しく、金建希女史とつながっている人や事業とは冷たく絶縁し、金夫人と妻の実家の家族にさらに断固として対応することで、世間から非難が出ないようにしなければならない。国政運営がうまくいけば、いつか国民が認めて支持率も反転(反騰)するんだって(尹錫悦がいつかそんなことを言ったことがある)?権力の生理はそう簡単ではない。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月8日号)

image by: Shutterstock.com

キムチパワーこの著者の記事一覧

韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 キムチパワー 』

【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

print
いま読まれてます

  • 大きな期待を寄せられていた韓国・尹錫悦大統領の評価が「悪すぎる」理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け