プーチンの軍事侵攻が誘発した「世界大乱時代」に日本が果たすべき3つの自立

 

南部ではウ軍は、反撃に出ている。ロ軍は東部のイジューム方面から20BTGを南部ヘルソン州北部に送り、この地域の防衛と北部で大攻勢を掛ける準備をしている。

このための大量の榴弾自走砲や装甲車両をケルチ橋で鉄道輸送する姿が見られている。攻撃というより防衛に必要な兵器を送っていることになる。ロ軍は南部には現状10-13BTGいたが、20BTGを増強し30BTGと体制を強化することになる。この部隊がヘルソン州北部中央に位置して、ウ軍の攻撃に対応するようである。

ウクライナ全体で、100BTG程度のロ軍が活動しているので、ヘルソンなど南部地域に重点を移したことがわかる。ウ軍とロ軍が真向勝負になるようだ。

しかし、この補給物資や増援する兵員を輸送中の列車がノバカホフカの南に位置するブライナカ駅に到達した時点で、ウ軍HIMARSの攻撃を受けて破壊されて、兵員約200名が死傷したという。ここしか補給ルートがないので、ウ軍に狙われている。この地域にはパルチザンもいて、列車情報も筒抜けである。

この南部地域では、ウ軍は戦闘機と攻撃機で大規模な航空反撃戦を実施し始めている。クリミア半島からのロ軍空軍機は、ウ軍の地対空ミサイルで行動を抑制されている。ロ軍増援部隊は、この空爆にも悩まされることになる。

そして、ノバカホフカの水力発電所の攻撃もウ軍は行う可能性が出てきた。この水力発電所を破壊すると、ドニエプル川北部への補給ルートがなくなり、その上、ヘルソン市も水没するし、近くにかかる船橋も構築できなくなる。これにより、ドニエプル川北部は孤立化することになる。援軍を送っても弾薬などが補給できないことになる。

だが、ウ軍は、この地域全体の情報統制を厳しくしているので、事態がよくわからない。

しかし、ヘルソン市への砲撃は行うが、市内に兵を進めないようであり、自爆ドローンで占領軍軍人や行政トップ、協力者などを個別に排除しているが、全体的にはロ軍を孤立させて降伏を待つのであろう。ここに補給ができないので、ロ軍としても増援も送れないようである。

ヘルソン州の北中部ロゾベでも、ウ軍はインフレッツ川に船橋を掛け、ロシア占領地に橋頭保を築いたが、ロ軍は空爆と砲撃を行い、この船橋を破壊しているが、ウ軍は複数の船橋を構築して、部隊を増援している。ウ軍は、この地域の50か所以上の集落を解放したともいう。そして、ロ軍攻撃機は、ここでウ軍戦闘機と対空ミサイルの餌食になっているようだ。

その上、クリミア半島のセヴァストポリ付近でロシア黒海艦隊の大型巡視船ヴァシリー・ビコフが、ウ軍のハープーンミサイルで破壊され、行方不明の船員が20人とのこと。まだ沈没はしていないようである。

一方、ウ軍後方の弾薬庫や指令所がロ軍から砲撃を受けていない。これはロシアの偵察衛星が識別できないことによるが、ロシアの偵察衛星は、解像度33センチのペルソナ衛星1機とロシア版ALOSのバーMが解像度1.1mの3機、解像度2.1mのカノープスVが6機という現状で、これではウ軍の攻撃目標を捕捉できないようだ。

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