世界の大乱が始まった
ウクライナ戦争は、イスラエルとパレスチナの紛争再熱、セルビアのコソボ国境での銃撃戦やアゼルバイジャンのナゴルノカラバフの攻撃、ペロシ下院議長の訪台による中国の台湾封鎖のような軍事演習などの紛争を誘発している。
強権的な国家群による民主主義国への攻撃が頻発してきた。もう1つが、米国の国内分裂を回避するために、中国を敵対視して、国内をまとめたいという思いがペロシ下院議長が持っていることである。
このまま、11月の中間選挙に臨めば、民主党が負けるので、紛争を起こして、米国民全体の共通の敵が必要なのである。米国はロシアの力が落ちていて、ウクライナにも負けることで、米国民の共通の敵とは、ならなかった。ロシアでは役不足であった。
中国も今後、金融崩壊による経済危機が来るので、こちらも国民の目を外に向けさせたいという志向が習近平国家主席にはあるので、米国の挑発に乗ることになる。
そして、韓国のユン大統領は、ペロシ下院議長との会談をキャンセルした。これは中国との関係を重視して、米国との関係を相対化する行為であり、米国との同盟関係を強固にする方向ではない。
韓国は米中のはざまで揺れ動くことになる。韓国は日本との関係も徴用工問題で、日本企業の資産現金化の方向は変えないので、日韓関係も異常のまま。この状況を見て、北朝鮮が動くと、朝鮮半島でもおかしなことが起きる可能性がある。
それと、多くの国でも、物価が高騰して国民が苦しくなり、ここでも隣国を敵として、戦いを仕掛けて、国民の目を外部に向けさすという動きになるので、世界全体が敵と味方になり、世界大乱になっていくことになる。
勿論、台湾や朝鮮の隣国である日本も例外ではない。そのために、できるだけ多くの原発を再稼働させて、エネルギーの自立とコメなどの増産による食糧の自立が必要になっている。大乱の時代には、軍事的自立、エネルギー自立、食糧の自立が最も必要である。
それは、海上封鎖が各地で起こり、海運に破壊的なダメージを与えて、供給を海外に頼ると途絶して、国民の生命を守れないからだ。
国家の目的は、国民の生命、財産、文化を守ることである。世界大乱を前にして、コスト重視の経済発展より先に安全保障上で確保するべき物の自立が一番するべきなのだ。政治家の使命は、危機対応の政策を作り、実行することである。今がその時である。
世界大乱の時代が始まった。くれぐれも、その時代を見通して、世界大乱に備えてほしいものである。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年8月8日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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