石油輸出シェアの大半を握るOPECプラスとは?
現在、世界の石油市場に大きな影響力を持つ組織として「OPECプラス」というものがあります。OPECプラスというのは、OPECにプラスして産油国数カ国が加わった組織です。OPECの拡大版というわけです。
このOPECプラスの主要メンバーは、サウジアラビアとロシアです。というより、OPECプラスは、サウジアラビアとロシアの結託によってつくられたものです。当然、両国がOPECプラスを主導しています。
OPECプラスの元の組織であるOPEC(石油輸出国機構)というのは、サウジアラビアなど中東の産油国を中心につくられた産油国のグループです。70年代にオイルショックを主導したことで知られています。世界の石油市場に大きな影響力を持ち、73年のオイルショックのときには、世界の原油生産量の51.5%を占めていました。だからこそ、オイルショックは世界に強烈なインパクトを与えたのです。
しかし、近年になって、OPECの影響力は大きく減じました。ロシアの原油生産量などが激増し、またアメリカでシェールオイルの生産が爆発的に増え、OPECのシェアが低下したのです。シェールオイルというのは、岩盤層から抽出して生成される石油のことです。以前は、コストが高く生産が難しかったのですが、2000年代に新しい技術が確立したのです。また石油の価格上昇により、コストが見合うようになり、世界の石油市場に大きなインパクトを与えました。
アメリカはシェールオイルの埋蔵量が非常に多く、この新しい技術により、石油生産が激増しました。その結果、2018年にはアメリカは世界一の石油生産国となりました。逆にOPECは、その存在価値が低下し、世界原油生産量の40%程度しか占められなくなったのです。
OPECとしては、どうにかしてかつてのような世界的な影響力を持ちたいと考えていました。OPECの加盟国は石油が国家収入の柱となっており、石油市場の動向は国家の存亡にも関わっていたからです。そんなときに、世界第3位の産油国であるロシアが、OPECの中心国であるサウジアラビアに歩み寄ってきたのです。
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