安倍国葬に忖度。統一教会 名称変更阻止の前川喜平氏を叩く勢力の正体

 

8月9日の『ABEMA Prime』に出演した前川氏に対し、コメンテーター陣から「申請をやめさせる権限があったのか」「プロセスが不透明ではないか」など批判的な意見が相次いだが、それも原氏や末松前文科相の見解に影響されていたからだろう。

たしかに行政手続法では、申請が形式上の要件に適合する場合には受理し審査しなければならないことになっている。

だが、97年の場合は前川氏の説得により、統一教会が申請を断念している。以来18年間、申請をしてこなかった。申請していないから受理する必要がない。これは、前川氏の知恵といえる。

原氏は「宗教法人法上、名称変更の申請があったとき、一定の形式要件を満たしていれば認証しなければならない」と述べて、前川氏を批判するが、97年の場合は申請に至っていないのだから、原氏の事実誤認か勘違いといえるだろう。

2015年になって、なぜか統一教会は申請を行い、受理された。当時、事務次官に次ぐ文科審議官のポストにあった前川氏は、宗務課長が事前説明にきたさい、「今まで申請を受理しない方針でやってきたのに、なぜ認証するのか」とただしたという。

しかし、文化庁は申請を受理した。受理した限りは、宗教法人法の規定に従い、要件を備えているかどうか審査したうえ、事務的に認証しなければならないという趣旨の末松氏の説明には道理があるようにも思える。

だが、問題は肝心の「要件」を、どう解釈し審査するかだ。

前川氏は言う。「宗教法人法は原則、要件を満たした宗教団体にはすべて法人格を与えるとの考え方に立っている。ですから、宗教団体であるという事実を確認する作業が認証なのです」「認証の対象は宗教法人の規則です。社団法人などで言えば、定款にあたるもの。規則の中に必ず名称を記さなければならず、名称変更にあたっては規則を改めて認証する必要があるのです」(日刊ゲンダイより)

形式的要件を満たせばいいというのは、あくまで宗教団体であることが前提だ。

霊感商法で多くの被害者を出し、損害賠償請求を認める判決も出ていた。法外な額の献金を要求されて家庭崩壊にいたるケースもあった。こんな組織が、はたして宗教団体といえるのか。97年に統一教会が名称変更の事前相談をしてきた時、前川氏を課長とする文化庁宗務課の問題意識はそこにあった。

だからこそ前川氏は、実態が変わらないのに名前だけ変更することは「認証できない」と、申請させないで押し返したのだ。

むろん、前川氏への風圧が強まっているのは、統一教会の名称変更を認めた背後で安倍自民党の圧力があったという推測を披歴しているからであろう。2015年当時の文科相、下村博文氏については「下村さんの意思が働いていたことは100%間違いない」と断言している。

「下村さんが知らないはずがない。認証の専決者は文化部長ですが、仮にボトムアップの決裁だとしても、これほど大きな方針転換について事前説明をしないのは考えられない。大臣まで必ず上げますよ。文化部長限りで判断できるような案件ではありませんから。何でもトップダウンで決める下村さんが統一教会の名称変更の認証について、知らなかったはずはない。細かく具体的に指示する大臣でしたからね」(前川氏)

前例踏襲を常とする役所にあって、事務方ナンバー2の意見を無視できるのは、政治的圧力がかかった場合しかありえないだろう。

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