挑発的な中国の72時間軍事演習によって「不沈空母=台湾」の認識が消えた

 

国共内戦後、米国が台湾本島と中国本土の間の海上軍事境界線に引いておいた「海峡中間線」も事実上無力化した。27年前の「第3次台湾海峡危機」の時とは違って、中国軍は果敢に「海峡中間線」にわたって作戦区域を設定した。

過去、台湾軍はこの線を越える中国軍艦艇や戦闘機は敵対的意図を持っていると見なし、拿捕したり迎撃すると脅かしていた。しかし、中国軍は中国本土から台湾本島に最も近い福建省平坦島から「海峡中間線」に向かって長距離砲弾を発射した。平坦島から台湾本島までの距離は、ソウルから大田までの距離(140キロ)より近い126キロ(68海里)に過ぎない。

台湾国防部によると、殲11(=J11)戦闘機とH-6(轟炸六型、Hong-6)など戦闘爆撃機を前面に出した中国空軍機66機も3日間の作戦期間中に台湾上空を回ったが、このうち22機は「海峡中間線」を行き来した。このうちJ11戦闘機はロシア製スホイ(Su)27を中国が独自生産したモデルで、米国製F-16Vとフランス製ミラージュ2000-5を主力とする台湾空軍に様々な面で手強い相手だ。中国官営の中国中央放送(CCTV)は、J11戦闘機操縦士がH-6爆撃機とともに台湾海岸線と山脈を下に見下ろして編隊飛行する画面を流した。

合わせて解放軍東部戦区は中国海軍艦艇に乗った水兵が双眼鏡で台湾海軍護衛艦蘭陽号と台湾本島を狙う写真を官営新華社通信を通じて全世界に配布した。具体的な位置は公開しなかったが、ネチズンは写真の中に登場する地形・地物を根拠に中国海軍艦艇が出没した海域が台湾東部の花蓮付近という事実を明らかにした。

太平洋を眺めつつ地形が険しい花蓮には台湾空軍が200台余りの戦闘機を地下格納庫に隠した紫山空軍基地がある。ところが、中国本土と背を向けており、比較的安全だと考えていた台湾東方海域にまで中国海軍艦艇が出没したわけだ。

さらに、中国本土と近くで「第1・2次台湾海峡危機」の時、中国本土と砲弾を撃ち合った金門島にも8月4日から3日間、中国軍所属と推定される無人機(ドローン)が1日最大7回ほど出没した。無人機は台湾軍の信号弾警告を受けて退却を繰り返した。中国国防大学の孟祥慶教授は「解放軍の視野に“海峡中間線”は存在しない」と断言した。

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