挑発的な中国の72時間軍事演習によって「不沈空母=台湾」の認識が消えた

 

台湾側は中国の72時間(3日)軍事演習に対抗し、8月9日から11日まで72時間の軍事演習を実施したが、両岸間の戦力非対称だけを露呈したという酷評があふれた。中国軍の上陸阻止訓練を行うとして、曲射砲(155ミリ)と迫撃砲(120ミリ)などを持ち出したのだが、中国からは「国共内戦に使っていた骨董品大砲を持ち出した」という皮肉まで出た。

逆に、中国共産党の習近平総書記兼国家主席は3日間の「台湾封鎖」軍事訓練の結果、上陸作戦に伴う莫大な人命被害なしにも事実上台湾を「武力統一」できるという予想外の成果を確保することになった。今年秋の第20回中国共産党全国代表大会で3連任を控え、軍部の支持を固めるのにかなり役立つものと見られる。

これは「第3次台湾海峡危機」の時と似た流れだ。当時も軍経歴が浅い江沢民前総書記兼国家主席は「第3次台湾海峡危機」を助長し軍部の支持を引き出し、翌年の1997年、トウ小平の死後、トウの影を取り除き権力を強固にすることに成功した。このような内容は「米中国交正常化」の主役として第3次台湾海峡危機当時、水面下の仲裁に乗り出したヘンリー・キッシンジャー元米国務長官の自叙伝でも詳細に紹介されている。

結局、ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に触発された「第4次台湾海峡危機」は米国の有意義な介入があってこそ終了するものと見られる。李登輝元総統の1995年6月の米国訪問に触発された「第3次台湾海峡危機」は、米海軍がインディペンデンス級とニミッツ級の2つの空母戦団を台湾の北側と東側海域に急派してようやく一段落した。

中国側で最も神経を尖らせているのも、米海軍第7艦隊の動きだ。ジョン・カービー米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)戦略疎通調整官は8月4日、「米国は数週間以内に軍用機と軍艦を台湾海峡に通過させる」と明らかにした。中国環球時報は、米海軍ニミッツ級原子力空母ロナルド・レーガン号の航路を追跡した結果を知らせ、7月30日頃フィリピン近海にあったレーガン号が日本に北上した後、8月9日まで依然として沖縄北東の日本海域にとどまっていることを確認した。

中国海軍も東海(=日本海)艦隊管轄の台湾海域だけでなく、それぞれ北海艦隊管轄の黄海と南シナ海でも8月15日まで実弾射撃訓練を予告し、レーガン号の接近を源泉封鎖しようと躍起になっている。台湾海峡、風雲急を告げる様相となってきているが、これは尖閣諸島危機にも繋がる。中国の動きから目を離せない状況となっている。(朝鮮日報参照)

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月17日号)

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